概要・あらすじ・キャスト
概要
監督は驚くべき視覚的トリックと、奇想天外のアイデアでインドにおいてカルト的な人気を集めるリジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ。最新作である本作は本年度アカデミー賞国際長編映画賞インド代表作品に選ばれ、国内の賞レースを席巻している。またこの映画の主役とも言える水牛は、ほとんどCG技術を使わず、実物の牛とアニマトロニクスを駆使して、圧倒的な恐怖と躍動感をもたらせている。クリエイティブなビジュアル&サウンド・デザインと、圧巻のモブ演出で世界の観客の度肝を抜いた牛追いスリラー・パニック映画(公式サイトより)
あらすじ
舞台は、南インド・ケーララ州最奥のジャングルに位置するとある村。さえない肉屋の男アントニが一頭の水牛を屠ろうと鉈を振ると、命の危機を察した牛は怒り狂い、全速力で脱走する。ディナー用の水牛カレーや、婚礼用の料理のために肉屋に群がっていた人々が、慌てて追いすがるも、まったく手に負えない。暴走機関車と化した暴れ牛は、村の商店を破壊し、タピオカ畑を踏み荒らす。アントニは恋心を寄せるソフィに愛想を尽かされ、自分の手で牛を捕まえて汚名を返上しようと奮闘する。農場主や教会の神父、地元の警察官、騒ぎを聞きつけた隣村のならず者らを巻き込み、村中は大パニック。一方、かつて密売の罪で村を追放された荒くれ者クッタッチャンが呼び戻されるが、猟銃を携えた彼は、かつてソフィをめぐっていがみあい、自分を密告したアントニを恨んでいた。やがて牛追い騒動が、いつしか人間同士の醜い争いへと大きくなっていく…。(公式サイトより)
キャスト
監督:リジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ
出演:チェンバン・ヴィノード・ジョーズ
アントニ・ヴァルギース
サーブモーン・アブドゥサマド
感想
『きっと、うまくいく』や『RRR』など、定期的に話題作を生み出すインド映画界。
観たいなと思いつつ、3時間近い上映時間に心くじかれて実はインド映画未体験な私だったのだけど、今回初めて触れた。インドに。
逃げ出した水牛を追う村人。
水牛によって村が破壊されていく中で、徐々に村人は理性を失い野獣と化していく様が小気味いいBGMと映像のリンクによって映し出される。
オープニングが特にいい。
ほぼストーリーも何もないんだけど、前述したように環境音のようなリズムと共に切り替わる映像によってもたらされるカタルシス。まるで『ベイビー・ドライバー』のオープニングみたいな、ずっと浸っていた心地よさがある。
もうこの時点で今作がとてつもないセンスで作られているんだなと察しだんだけど、いざ大筋のストーリーに入り込んでみるとカルトじみてて「好き」や「きらい」の言葉では表現しきれない、はっきりとしないモヤモヤの渦に飲み込まれる。
公式サイト内の監督の紹介文に「ケーララ地方のローカルな物語を、実験的なジャンル映画に落とし込む手法と、物語のノンリニア性、暴力とカオスの美化、特徴的なロングショットで特に知られている」とあるんだけど、まさしくノンリニア(非直線)なストーリーテリングで、マーベル作品やディズニー作品が好みの人にとっては苦痛をもたらす作品かもしれない。
でも、たぶんインド映画の強みである人間のパワーといったものが全面に出ていて、時間が経つごとに増長する群衆のエネルギーに飲み込まれること間違いなし。
ラストは絶句、である。
群衆が野獣になる様を描きたかったようだが、『もののけ姫』で体験した、野獣を通り越して神々しささえ感じる畏怖と対峙することになる。
インド映画らしくない(?)90分代という短さも最高だ。息子を寝かしつけした後に観るには最適な長さなのだ。
90分ずっと興奮しっぱなし。これは観るべき、いや、体験すべき作品だ。
観るにはちょっぴりパワーがいるから、体力が余っている日にどうぞ。
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牛といえばね。世間の評価はイマイチだけどKōkiちゃんの意外なほど自然体な演技も含めて私は好き。
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