映画『ミッドナイト・スカイ』(2020)レビューとイラスト※ネタバレなし

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映画『ミッドナイト・スカイ』概要・あらすじ

概要

ジョージ・クルーニーが監督・製作・主演を務めたNetflixオリジナル映画。作家リリー・ブルックス=ダルトンの小説「世界の終わりの天文台」の映画化で、滅亡の危機にある地球と広大な宇宙を舞台に、クルーニーが北極に残り続ける孤独な科学者を演じたSFドラマ。
オーガスティンをクルーニーが演じ、サリー役は「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」「博士と彼女のセオリー」のフェリシティ・ジョーンズが務めた。そのほかの共演にカイル・チャンドラー、デミアン・ビチル、デビッド・オイェロウォ。脚本は「レヴェナント 蘇えりし者」のマーク・L・スミス。Netflixで2020年12月23日から配信。一部の映画館で12月11日から劇場公開。(映画.comより)

あらすじ

地球滅亡が目前に迫ってもなお、北極の基地に残る孤独な科学者オーガスティン。基地には誰もいなくなったはずだったが、ひとりの謎めいた少女が現れる。アイリスという名のその少女と共同生活を送ることになったオーガスティンはある日、木星の衛星の探査任務を終えて地球に戻ろうとする宇宙船の乗組員サリーらの存在を知る。オーガスティンはサリーらと交信し、滅亡を待つだけの地球に戻ってくることをやめさせようとするが……。(映画.comより)

映画『ミッドナイト・スカイ』感想

静かなSFが観たい時がある。
子供の寝かしつけを終えて、お風呂に入ってから少し絵を描いて、ちょっと眠気が出てきた頃、
寝る前に映画を観たいなぁ、まどろむように観たいなぁ、そんな気分の時。

まるで宙を漂うように映画の中を浮遊したい、そんなときはSFがぴったりである。

それも次々人が死んだり、地球外生命体が出てきたり、自ら怪我を縫うために針をぶっ刺したり、
そんな描写はない方が適切。普段はそんなのばっかり観てるけど。

なるべく脳を刺激しない、それでいて美しい宇宙を眺めたい。
そんな希望に応えてくれたのがジョージ・クルーニー監督・主演の『ミッドナイト・スカイ』

大作に出演しているイメージの彼からは想像もできないような、
とても静かで美しく、壮大でありながらミニマムなテーマが心に響く作品だった。

とある事件がきっかけで人類滅亡の危機に陥った近未来を舞台に、
地球に帰還しようとする宇宙船と北極圏で彼らに何とか現状を伝えようと奔走する科学者を描いた作品。

一番に目が行くのは、花弁のようなデザインの宇宙船。
船内も葉脈のように鉄骨が張り巡り、正直無駄とも思えるようなデザインに心奪われる。

なぜこんな凝ったデザインにしたのだろう。
それが鑑賞中ずっと頭にあった。

ただただNetflixに予算がありまくってお金をかけたデザインにしたわけではあるまい。

その答えに繋がるのが、今作のテーマである「家族愛」

宇宙船のクルーと北極圏に残った科学者。
彼らは地球滅亡を目前にしても離れ離れになった家族を思い、繋がろうとする。
コロナ禍の今、劇中の彼らほどではないにしても、容易に人と繋がることが難しくなってしまった。
そんな中でどう生きていくのか、という問題提起が見えてくる。

自由な時代でありながら、個が好き勝手に生きることとイコールではない。
むしろ周りの人、特に一番身近な家族との繋がりこそ大事にしなくてはいけないんだ、というメッセージを受け取ったのです。

花のように命を紡ぎ、葉脈のように人々は繋がっていく。
きっと宇宙船のデザインにはそんな思いが込められているのではないだろうか。

宇宙と人類滅亡という壮大な設定ながらも、
身近な家族愛というミニマムなテーマが静かなSFにぴったり当てはまる。

みなさんも静かな夜にご覧くださいませ。

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アサミヤカオリ

イラストレーター/造形作家/映画コラムニスト/漫画家

1983年生まれ。大阪出身。
2018年より徳島に拠点に移して活動中。

AWAP『映画コラム』/ BRUTUS『赤恥研究所』連載中
B級映画/ラジオ/観葉植物好き。最近は22時就寝5時起きで制作がんばってます。メキシコ行きたい。

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2020年公開SF
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