ザ・サークルじゃないよ。映画『サークル』レビューとイラスト※ネタバレあり

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B級映画やスリラー作品ばかり見ている私にNetflixが「おすすめ作品」として出してきた映画『サークル』。
赤に黒という強烈なビジュアルに惹きつけられてめっちゃ気になってたんですよね。

こうやって大勢の人が輪になってるのもなんか宗教チックだしミステリアスだし、B級好きの心をグッと掴む何かがあるんですわ。

内容は意外や意外(?)延々ワンシチュエーションの会話劇。楽しみ方を知ってから見た方がいい映画ですね。

ちなみに『ザ・サークル』とは別物だから注意してね。

 




映画『サークル』概要・あらすじ・キャスト

概要

小さなサークル内の、動きのない会話劇のみで繰り広げられるシチュエーション・スリラー。

あらすじ

ふと目をさますと、サークル状に並んだ大勢の見知らぬ人間がいた。
50人の老若男女がサークルの真ん中にあるドーム状のものにより、2分ごとに処刑されていく。

処刑する人間を投票で選べることに気付いた人々は、生き残りをかけて会話を重ね、知恵を振り絞る・・・。
果たして誰が生き残るべき人間なのか。そして誰がこの“サークル”を操っているのか・・・。

スタッフ

監督:アーロン・ハン

キャスト

●アレグラ・マスターズ:妊婦さん

臨月間近なくらいお腹が大きい妊婦さん。
エイミー・アダムスを整えて個性をなくした感じの女優さん。

●モーリー・ジャクソン:ケイティ

たった一人の子供。
泣きの演技が妙に大げさ。
特に処刑から免れたときに胸をなで下ろす仕草が子供らしくない。

●マット・コーボイ:クレイグ

特に特徴ないです。

●ジュリー・ベンツ:

クレイグの妻。
泣いてる演技が笑ってるようにしか見えないですが、きれいなお母さんって感じです。

●ルネ・ヘーガー:無神論者(英語版wikipediaでの役名)

「神なんてクソ食らえ!」と言ったり、隣にいたクリスティーナに「お前ポルノスターだろ!」と食ってかかったり、明らかに「生き残るべき人間」ではない奴。

●サラ・サンダーソン:クリスティーナ

無神論者の男に豊胸手術だろ!と言われて最初は否定するも、結局入れてるらしいです。
実際に巨乳さんです。実際に入れてるかは知らん。

●ダニエル・レンチ:銀行員

「生きるべき人間を選ぶべきだ!」と叫んでいらっしゃいます。
妙に説教くさい。
いい写真だな、これ。

カイヴィ・ライマン・メルセロー:あごヒゲの男((英語版wikipediaでの役名)

執拗に「子供を殺せ!」とみんなを諭す奴。
とにかく毛で覆われてます。

●マイケル・ナルデリ:エリック

子供も妊婦も守ろうとする、一番まともそうな人間。
観客の心を惹きつけるような奴です。
でもね、こういう人間こそ・・・詳しくはまた後ほど。


びっくりするくらい背景黒いな。

映画『サークル』感想

70点

会話劇が好きな人にはおすすめ

こんちゃ!アサミヤです。
今回ご紹介するのは、2015年作品の『サークル』。

見始めた最初は「は?」って感じであまり好きじゃなかったんですけど、鑑賞後、日を追うごとにジワジワ好きになってて、「ウォーキング・デッド」のメルルみたいに時間が経ってやっと好きって気付く存在ですね。

期待してた理不尽系密室殺戮映画としてではなく、会話劇として見たら案外面白いんかも、と思ったんです。

なんてったって、密室でサークル状に並んだ人間が、各自直径50センチくらいの輪の中で立ち尽くしながら会話するだけの映画ですからね。
その会話を楽しめなきゃ途中で寝落ちすること間違いなし。

もちろん次々人が死ぬのでシチュエーション・スリラーが好きな方にもおすすめです。

数々の設定

ワンシチュエーションスリラーの傑作といえば『ソウ』第1作目ですよね。

小さな密室の中、たった二人と死体一体で繰り広げられるスリラー。
すごくシンプルな設定だけど、観ている方も飽きないし「えー!それ使っちゃうの!?やめなよーー!」とハラハラドキドキしっぱなしだし、オチもびっくり仰天。
少しずつ登場人物の背景や、なぜ密室に閉じ込められているのか、誰が仕掛けたのかというが明らかになっていく過程が面白いんですよ。

その傑作と比較するのは気の毒な感じもしますが、『サークル』は人数も多いし設定もガチガチ。

  • 投票で処刑する人間を選ぶ
  • 無投票でも2分ごとにランダムに処刑される
  • 隣の人に触れてはいけない
  • 輪から出ると処刑される
  • 死んだ人に投票しても無効(ランダムに別の人間が殺される)
  • 自分には投票できない
  • 同点なら再投票

投票ってなんぞ?と思われるかもしれませんが、なぜか手の平を動かすと、それに連動して輪っか内の矢印も動くんですよ。
そして手をギュッと握ると、その矢印が向いた人に投票しましたよ、っていう仕組みらしいです。
その投票する動きが段々大げさになって必殺技みたいになっていくので必見です。

自分が誰に投票したかは他の人からは見えないので、「みんなが隣の人に投票すれば平等になって誰も死ぬことはないだろう」と結託しても、「妊婦と子供がどうせ生き残るんだから、どちらかを死なせよう」と意図した奴がこっそり向かいにいる妊婦に投票することも可能なのです。
より心理戦が生きる設定ですよね。

『ソウ』とは真逆で人数も多いし設定もガチガチなんだけど、それはそれで効率よく人数も減っていくし、心理戦が過熱するので私はなかなか良い設定なんじゃないかと思います。

意外と社会派な脚本

会話劇として楽しめると書きましたが、冷静な目で2回目観たときに、ただ理不尽系殺戮映画として観ていると気付かなかった脚本の良さに気付いたんですよね。
背景も真っ黒な非常にミニマムな設定の中で進むお話なので、余計に会話が際立つんですよ。

誰も小さな輪から出ることができず、他人に触れることも出来ないので、喧嘩をしたとて殴るわけにもいかない。
生き残るためには上手く相手を言いくるめないとダメなんだけど、自論を押し付けようとすると反発を受けてしまうので、処刑されてしまう可能性も高い。

以下は、率先して発言をして死んでいった方々の簡単な議事録です。

  • どうせ先がないんだから高齢者から処刑されろ!
  • 子供がいない人間が処刑されろ!
  • 生き残るべき人間を選出しよう!シングルマザーは社会の重みだ!
  • 女子供を処刑すればいいんだ!
  • 志願者はいないか!
  • 神なんてクソ食らえ!
  • 同性愛者は子供にとって悪だ!

始めは「高齢者から処刑しよう」という若者の意見にみんなが流されるように賛同するんだけど、その内ただの傲慢な奴として処刑されてしまうんですよ。

指揮を取ったり偏見を押し付けようとすると次々投票の的になって処刑されてしまうその姿は、SNSの炎上事件のメタファーかなと思ったりして。

この他人種差別の話も出てきたりするので、意外と社会派な話を盛り込んでるんですよね。

この映画はあまり評価されてないんだけど、監督や脚本家が意図したことを汲み取ろうという姿勢で観るとちょっと面白み増すんじゃないかしら。

最後に生き残るのは・・・

2分ごとに人が死んでいくし、途中で4人くらい一気に処刑されたりするので、あれよあれよと生き残りは3人になります。

誰が生き残ったかというと、子供のケイティ妊婦さん、そして彼女たちを守ろうとした”善人“であるエリックです。
ここまではなんとなく想像してた通り。

ここまで散々『子供と妊婦を処刑しよう!』派 VS『彼女たちを守ろう!』派で言い争った末に彼らが生き残ったので、

「あぁ、良かったね、最終エリックが犠牲になってケイティ(子供)妊婦さんのどちらかが生き残るんだね」とホッと胸を撫でおろしたもんですよ。
やはり子供やお腹に赤ちゃんがいる女性を見殺しにはしたくないじゃない。

妊婦さんと赤ちゃんを守るため、ケイティ(子供)は自ら志願し、エリックと一緒に輪を出ようとするんですよ。

涙涙のシーン・・・

かと思いきや。

その瞬間エリックは妊婦さんに投票するのです<(゚ロ゚;)>ノォオオオオオ!!

以下、流れ↓↓↓

(エリック)「一緒なら怖くないよ!」

(エリック)「さぁ、今だ!サークルから出ろ!」

(ケイティ)「行くっきゃない!」

 

(エリック)「オォリャアアアア!」

(妊婦さん)「えっ!?」

(ケイティ)「はっ!?」

(場内)シーーン

(エリック)「勝った・・・・」

 

エリィーーーーーーーーーーーーーック!?!?!

何とエリックは彼女たちを守るためではなく、自分が生き残るために周りを巧みにコントロールしていたんですよ。

なんてズル賢い奴なんだ、エリック。

地球人選抜試験だったのか。

そうして生き残ったエリック。
目が覚めると空には見たことのない円盤と、同じように生き残ったであろう子供や妊婦、男性たちが。

んんん????

これってつまり、あれか。

宇宙人が仕組んだ地球人選抜試験ってことか。

ほぉおお〜〜〜〜〜

 

新たな世界を作るために優秀な人間を残したかったとかそんな感じのやつ?
でも、たぶん他の「サークル」で、メンバーの善意で残された子供もいっぱいいるので、一概に知能が長けている人間だけが生き残ったわけでもなさそう。

子供や妊婦をエリックが裏切った瞬間までで終わっていれば、

「結局生き残るのは権力を誇示する人間でも、偏見を持って他人を糾弾する人間でもなく、人間をコントロールできるやつ

っていう社会的なテーマが読み取れて面白かったかもしれません。

ほら、都市伝説で有名な関暁夫さんもよく言ってるじゃないですか。

「我々は何者かにコントロールされている」って。

もしくはSNSでお互いがお互いを評価しあったり、扇動しあったり、監視しあったりしている現代に対する風刺としてみても十分に面白い話でした。

なんだかなぁ、最後に宇宙船と他の生き残った人間が写っちゃったから、びっくりしちゃったなぁ〜。

なんだかなぁ。

まとめ

B級もののシチュエーションスリラーとしては脚本も(途中までは)中々の出来だったし、俳優さんの演技も迫真だったし、「これはクソ!」とは言い切れない味のある作品でした。

最後のオチにはがっかりでしたが、もしかしたら私では汲み取れない意図が他にあったのかもしれない。
そう思うと、色んな人とディスカッションしてみたいというラストでもありましたね。

ということでネタバレめちゃめちゃ書いちゃってますが、もし未見の人は自分の目で観て考察して、何ならコメントくれたら嬉しいやで。

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