壮大な痛みと愛に包まれる。映画『TITANE/チタン』(2021)レビューとイラスト

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概要・あらすじ・キャスト

概要

「RAW 少女のめざめ」で鮮烈なデビューを飾ったフランスのジュリア・デュクルノー監督の長編第2作。頭にチタンを埋め込まれた主人公がたどる数奇な運命を描き、2021年・第74回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝いた。

ヴィンセント役に「ティエリー・トグルドーの憂鬱」のバンサン・ランドン。(映画.comより )

あらすじ

幼少時に交通事故に遭い、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたアレクシア。それ以来、彼女は車に対して異常なほどの執着心を抱き、危険な衝動に駆られるようになってしまう。自身の犯した罪により行き場を失ったアレクシアは、消防士ヴィンセントと出会う。ヴィンセントは10年前に息子が行方不明となり、現在はひとり孤独に暮らしていた。2人は奇妙な共同生活を始めるが、アレクシアの体には重大な秘密があった。(映画.comより )

キャスト

監督:ジュリア・デュクルノー

出演:バンサン・ランドン
   アガト・ルセル
   カランス・マリリエール

感想

痛い、グロい、という前評判を耳にしていたから、鑑賞するには力がいるなと思い温存していた作品。

いざ観てみたら、なんと壮大な愛の物語なんだ。

頭にチタンを埋め込んだ女の「カーセ○クス(文字通り車とのちょめちょめ)」描写がいかなるものかと興味はあったのだけれど、そんなもの気にならなくなるくらいに、確かに痛い描写は多かった。

特に前半、頭に刺したカンザシで(必殺仕事人のごとく)まるで蚊を殺すかのように次々人を殺める彼女の凶行には半分くらい目を薄めて見たほどで。

5分に1回は脳内の痛点刺激されるシーンがあったんじゃないかしら。

その時点でかなりパワーを消費したんだけれど、彼女に警察の手が伸びようとする最中、とある逃走ルートを思いついたところからガラッと物語の方向性が変わっていくのだ。

10年前に行方不明になった息子を探す男の元で、その「息子」として保護されながら暮らし始める。

もちろん性別は偽りながら、反発しあい、殴り合い、一言も口をきかないながらも職場を共有することで少しずつ打ち解けあったいく二人。

あんなにも痛みに耐えていた物語が、急に親子の愛に展開していく。

ありえない二人の絡まりながら強くなっていく絆に思わず目頭が熱くなって、「私は一体何を見ているのだろう」と不思議な気持ちになった。

そして最後はさらに壮大な愛を見せつけられるから、ある意味これは本当にパワーがいる作品だったな。

スリラー、ホラー、コメディー(音楽の使い方でボケるのがうまい)、ヒューマンストーリーと、一作品でどれだけ楽しませてくれるんだと、大満足だ。

これぞ真のエンタメでは?と思うけど、前半でかなり人を選ぶから、大きな声ではおすすめしないでおこう。

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車、欲情といえばこの作品だよね。

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