映画『ディメンション』(2020)レビューとイラスト

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NASAの研究員であるアイザックはセラピーとしてカメラを回していたところ、偶然飛行船の墜落現場に遭遇する。

現場に近づいた彼は未知なる生物と対峙した後意識を失うのだが、目覚めた彼の手元に残されたカメラには宇宙人がはっきりと映っていた。

以前はよく作業をしながら映画(英語わからんから吹替で)流したりしてたんですが、案の定映画に集中しちゃて手元が止まる事例が多発したので最近はやってなかったんですよね。

もっぱらラジオかyoutube、音楽を聴く日々なんですが、なんかそれも飽きちゃって。

ほんでひっさびさにながら見で映画流しちゃおう!とチョイスしたのがこれ。

たまたま吹き替えがあって(マイナーな作品って吹き替えがない場合が多いんよね)個人的に好みそうなSFってことで選んだんだけど、正直後悔しました。

ちゃんと観ればよかった。

そう思うくらいおもしろかった。

いや、厳密には万人受けするおもしろさではないし、滑ってる感のある演出もあるんだけども。

監督の意欲といきなり宇宙人をはっきり映しちゃう出し惜しみのなさに惚れました。

どうやらアブダクションされたっぽいアイザックが特殊能力を得たりSNSで動画を拡散して一躍時の人になるも、結果疑われて白い目で見られるという展開。

アイザック役の男の子のおでこの広さや軟弱そうな容姿も含めて、なんとなく『クロニクル』を彷彿とさせるんだけど、『クロニクル』ほど特殊能力の危うさや可能性を引き出せてないしSNSもうまく生かせてないのがちょっと残念。

なんだけど、最初は華がないなぁと思ってたけど段々と近所のお兄ちゃん感が増して感情移入しまくりの主人公やちょっと気が強そうだけど素直が取り柄のアジア系のヒロイン、彼らとなぜか行動を共にすることになるネットオタク、そして過去にアブダクションされたことのあるオヤジなど、キャラが際立ってて設定の荒さも気にならない。

そして彼らを追い詰める謎の組織的な存在もキーポイント。

組織が所有するAI捜査員がモロ人間の動きでしょぼいし無能なんだけど、個人的にそういうオリジナルのキャラを出されるともうそれだけで点数上げたくなっちゃう。

なぜSFが好きなのかって、自分が発想もしなかった世界や生物をいろんな技術を使って見せてくれるからなんですよね。

『遊星からの物体X』や『スプライス』、『パンズ・ラビリンス』などあげたらキリがないけど、クリーチャーやオリジナルの世界観をもつ作品って、それだけで愛しちゃうもんね。

だから今作のただ白い布を纏っただけのAI捜査官を、みなさまも暖かい眼差しで見てほしい。

彼らがバイクに乗って走るシーンなんか、ただの白仮面ライダーなんだから。

前半の「世間にアブダクションの事実をどう認めさせるか」という話から、後半の「謎の組織からどう逃げるか」という展開には正直がっかりされる方も多いと思うし、特殊能力をただその場しのぎの道具としてしか使えてない点も全体的にこじんまりとした印象に終始させてしまっているのは残念ですが、
それでも前述したキャラクターの要素や宇宙人の不気味かつあたたかな存在感も含め、決してスルーしてほしくない作品なのです。

個人的には宇宙人が追跡装置を解除する際のギミックがめっちゃ好き。

ぜひSF好きの人は観てね。

アサミヤカオリ

イラストレーター/造形作家/映画コラムニスト/漫画家

1983年生まれ。大阪出身。
2018年より徳島に拠点に移して活動中。

AWAP『映画コラム』/ BRUTUS『赤恥研究所』連載中
B級映画/ラジオ/観葉植物好き。最近は22時就寝5時起きで制作がんばってます。メキシコ行きたい。

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2020年公開SF
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