映画『スケアリーストーリーズ 怖い本』(2019)レビューとイラスト

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ハロウィンの夜、町外れの幽霊屋敷に忍び込んだステラたちは地下室で一冊の本を見つける。ページを開くとそこには噂に聞いた怖い話の数々が綴られていた。作家志望のステラはこっそり本を持ち帰るが、翌日から仲間がひとり、またひとりと消えていく。のどかな町で起きた不可解な失踪事件。彼らの身を案じていたステラたちは、本の余白ページにひとりでに文字が浮き出て、新たな物語が書かれていくのを見てしまう。しかも主人公は消...

映画『スケアリーストーリーズ 怖い本』概要・あらすじ

概要

「シェイプ・オブ・ウォーター」でアカデミー賞を受賞したギレルモ・デル・トロが企画・製作を手がけ、恐ろしい内容や挿絵のために全米で学校図書館に置くことに対する論争が巻き起こった児童書シリーズを映画化。原作は1981年に第1作が発表されたアルビン・シュワルツによるベストセラー児童書 「スケアリーストーリーズ 怖い本」 シリーズ。「ジェーン・ドウの解剖」「トロール・ハンター」のアンドレ・ウーブレダル監督がメガホンをとった。(映画.comより)

あらすじ

ハロウィンの夜、町外れにある屋敷に忍び込んだ子どもたちが一冊の本を見つける。その本には数々の恐ろしい話がつづられており、本を持ち帰った次の日から、子どもがひとりまたひとりと消えていく。さらに、その「怖い本」には、毎夜ひとりでに新たな物語が追加されていき……。(映画.comより)

映画『スケアリーストーリーズ 怖い本』感想

ギレルモ・デル・トロが企画・製作、『トロール・ハンター』『ジェーン・ドウの解剖』アンドレ・ウーヴレダルが監督という夢のコラボレーション(?)作品である『スケアリーストーリーズ 怖い本』

児童書が原作とあって一見子供向けの作品のように思えますが、ギレルモ・デル・トロらしい変態性あふれるクリーチャーのビジュアルがたまらない作品でした。
しかし、深掘りするとそれだけでは終わらない、実は大人だからこそ感じれる恐怖に満ちた作品でもありました。

舞台は1968年。
ベトナム戦争真っ只中で反戦運動の動きも高まる中、ニクソンの選挙運動が連日報道されている。
ドライブシアターでは戦時中の混沌としたアメリカが背景にあるとされる『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』が上映され、
主人公の部屋は大量のホラーグッズで溢れている。

しつこいくらいに時代設定を観客に見せるのはなぜだろう、
とまず疑問に思った私は、クリーチャーのビジュアルに心ときめかせながらも1968年という時代をググってみた。

そして見えてきたのが、この映画の裏にある若者たちの戦争への恐怖。

指を返せと迫ってくるガリガリの女性や赤い部屋に現れる不気味な微笑みを称えた女性、そして体がバラバラな男・・・

それらの恐怖の対象は、戦争そのもののメタファーなのではないでしょうか。

1969年にニクソン大統領が就任した後に悪化する戦争を暗喩するラストも不気味。

上辺だけをみているとただのクリーチャーホラーもので、
それはそれで楽しいのだけれど、違う目線で見るとより恐怖を感じれる、
実は奥深い作品なのです。

 

なんつって、最近調べ癖がついて色々深掘りするのが楽しいので、
ちょっとかしこ風で書いてみました。

ギレルモ・デル・トロ節全開のビジュアルを楽しむだけでもお腹いっぱいになるよ。
おすすめです。

アサミヤカオリ

イラストレーター/造形作家/映画コラムニスト/漫画家

大阪出身。
2018年より徳島に拠点に移して活動中。

AWAP『映画コラム』/ BRUTUS『赤恥研究所』連載中
B級映画/ラジオ/観葉植物好き。最近は20時半就寝4時起きで制作がんばってます。メキシコ行きたい。

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