憎しみの連鎖を止めることはできるのか。
超カンタンあらすじコチラ↓
白人至上主義のダニーは3年の刑期を終えて出所する兄のデレクを待っていた。
ネオナチのカリスマ的存在だった兄は、しかし出所後人間が変わったように穏やかな人間になっていた。
刑期中に何があったのか。未だにアメリカが抱える黒人差別の闇。
その憎しみや怒りの連鎖を止めることができるのだろうか・・・。
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エドワード・ノートンとエドワード・ファーロング。
当時この2大俳優観たさで手に取ったこの作品が実に深く重いテーマでエンドロールでずーーーーんと沈んだのを覚えています。
アメリカに今だに根付く人種差別の闇。
過去の話としてではなく、現代の話として目にすると、より重たい衝撃を覚えました。
兄の影響で白人至上主義に傾倒する弟のダニー。
白人至上主義とは文字通り、他の有色人種に比べて白人が一番優れているという思想。
中盤では「KKK」の話も出てきます。
”黒人”という存在に対し、容赦なく差別的発言をし暴力的だった兄に、自分を投影するようなダニーの姿。
部屋にもナチスの旗を飾り、レポートにもヒトラーを取り上げたりと思想が偏っているのがわかる。
しかし黒人殺害の罪で3年の刑期を終えた兄は、全く別人のように穏やかになっていた。
確固としたネオナチ思想は刑期中に懐疑的となり、同じく囚人だった黒人のラモントとの交流により黒人差別の思想は全くなくなっていたのです。
そんな兄の話に反発しながらも、自らの思想も改めるダニー。
元々デレクも白人至上主義に偏ったのは父の影響であり、兄弟共に根っこから差別的な思想を持っていないことがわかります。
現代に根強く残る人種差別の有様がひしひしと伝わってきました。
聡明に育った兄弟の思想を捻じ曲げたのは父の黒人教師への偏見であり、それは差別として認識されないまま当たり前にアメリカ人の思想に溶け込んでいる。
本人が認識しないことには改善できない問題。
それをデレクが刑務所に入ることにより差別を認識し、”黒人”という「記号」にただ怒りをぶつけいていただけだと気づくわけです。
改心し新たに人生を始めようとした兄弟。
その矢先、ダニーが敵対していた黒人に銃殺される。
嘆くデレク。
この先、待っているのは怒りの連鎖か、許しか・・・・。
その答えは私たちに託されるかたちで終わります。
「怒りに身を任せるには人生は短すぎる」
島国で生きる日本人には真髄まで理解できない問題かもしれません。
しかし外国人が沢山来訪するようになった昨今では他人事ではないし、韓国との諸問題もあり、しかと心に受け止めなければいけない内容であることには間違いない。
観るたびにずっしりと重みが増す映画です。
人生で一度は観て欲しい。
ノートンの狂気じみた演技と肉体にも注目。
同じく”X”の付く、黒人差別を取り扱った名作「マルコムX」。
実在の黒人解放運動家をデンゼル・ワシントンが熱演。
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