B級映画はこれ観て語れ! 映画『プラネット・テラーinグラインドハウス』レビューとイラスト

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映画『プラネット・テラー』概要・あらすじ・キャスト

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60年代から80年代に存在したグラインドハウスを再現した2007年公開のアクションホラー映画。
監督にロバート・ロドリゲス、キャストにはブルース・ウィリスファーギーなどの大物の名も連ねるが、れっきとしたチープなB級映画である。
一応ゾンビもの。

あらすじ

テキサスの田舎町のある夜、J.T.(ジェフ・フェイヒー)のバーベキュー・レストランにやって来たゴーゴーダンサーのチェリー・ダーリン(ローズ・マッゴーワン)は、元恋人の解体屋レイ(フレディ・ロドリゲス)と再会した。 その頃、軍の部隊長マルドゥーン(ブルース・ウィリス)と生物化学の科学者アビー(ナヴィーン・アンドリュース)の取り引き中に、生物兵器DC2(コードネーム「プロジェクト・テラー」)のガスが噴き出してしまう。町中にDC2が拡がり、感染者がゾンビと化して人々を襲い始めた。チェリーはゾンビに右脚を喰われるも、レイに助けられ、失った箇所にテーブルの脚をはめて、脱走に成功した。 その後、チェリーは右脚にマシンガンをはめ、もみ消しに来た兵士やゾンビたち相手に奮闘するのであった。(wikipediaより

監督・脚本 ロバート・ロドリゲス
キャスト ローズ・マッゴーワン フレディ・ロドリゲス ジョシュ・ブローリン  マーリー・シェルトン ブルース・ウィリス トム・サヴィーニ マイケル・ビーン クエンティン・タランティーノ ファーギー
 83点

映画『プラネット・テラーinグラインドハウス』感想

こんちゃ!アサミヤです。
皆様は「グラインドハウス」というお言葉、聞いたことございますか?
60年代後半から80年代までアメリカの都市部に存在した、B級映画やC級映画を24時間垂れ流ししていた映画館のお名前です。

詳しいことは後ほどお話しするとして、そのグラインドハウスの雰囲気を再現しようと立ち上がったのがロバート・ロドリゲスと盟友クエンティン・タランティーノ。
以前レビューした1996年製作映画『フロム・ダスク・ティル・ドーン』も、タランティーノが脚本を書いてロドリゲスが監督をしているんだけど、今作に通ずるようなグラインドハウスの片鱗を見せる超展開のB級だったんですよ。

今作はそれに負けず劣らずで、フィルムにわざと傷をつけて荒い画質にしてたり、お色気シーンでわざとフィルムが焼ける演出をしたりとやりたい放題。

はっきり言ってB級映画に慣れてない人や高尚な映画を求める人は毛嫌いするような作品ですが、私は大好きだ!!

今や名優のジョシュ・ブローリンの不倫妻を執拗に傷みつけようとするサイコな姿や、クエンティン・タランティーノのキモさ抜群のレイプ魔など、キャラクターに魅力というか吸引力があるのはもちろん、ヒロインの片足がなくなる代わりにマシンガンを装着してぶっ放すという、変態としか思えないアイデアがこの映画に驚嘆するところ。

私がサブタイトルを付けるなら、”THE好き放題”。

なぜB級映画に惹かれるのか、という難題にこの映画は答えを示してくれてるような気がします。
”純粋に快感を求めるが良いさ!エロスもバイオレンスも人間の根源にある物じゃないか!さぁ、解き放て!”
と、ロバート・ロドリゲスもクエンティン・タランティーノも、この映画で提示してくれている、ような気がするような、私の勝手な妄想のような、まぁなんだって良いじゃない。

人がバンバン死んでいくスラッシャー映画として、『ハロウィン』や『IT』などがありますが、『プラネット・テラーinグラインドハウス』はここまでいくとギャグになるんだなって限界点を見せてくれてるのも好感持てます。
ドロドロとした人間溶融やマッドサイエンティストが集める男性の”アレ”など、眼に余るような血なまぐささも、いきすぎたB級映画愛に溢れた作品の中では可愛く見えるんですよ。
スタイリッシュになりすぎる昨今の作風を吹き飛ばすようなロバート・ロドリゲスとクエンティン・タランティーノが、ちょっと神のように見えてくるぜ・・・・。

B級映画が好きな人はぜひ、古い映画館で鑑賞するようにビールとポップコーンを片手にしつつ、途中でフィルムが焼けるシーンには思い切りポップコーンを画面に投げつけてほしいな、と思ってます。
私は部屋が汚れるんでやりませんけどね。

映画『プラネット・テラーinグラインドハウス』見所ポイント

グラインドハウスって?

俗に言うエクスプロテーション映画やセクスプロイテーション映画、バイオレンス映画などを永遠と流し続ける、一種見世物小屋状態の映画館がグラインドハウス。
それぞれの上映作品の間に、膨大な数の予告が流れていたのも特徴的。

作品の内容だけでなく、フィルム自体も各地の映画館を巡り巡って擦り切れるまで上映されるから、画質もひどいわ、お色気シーンを勝手に映写技師が持ち帰るわの凄惨っぷり。

誰がそんな映画館で観るんだよ、と現代の潔癖なお方はお思いでしょうが、当時の男性方は娯楽とエロスを求めて足を運んだんですよ。
元々”グラインドハウス”の”グラインド”はストリップショーで女性が腰をしゃくりあげる動きからきてますからね。

ただただ観客が求めるがままに刺激を与え、金を搾取するだけに焦点を絞ったチープな映画が、今では国宝物です。
それを再現したロバート・ロドリゲスとクエンティンタランティーノに拍手喝采を送りたい。

ちなみに私はこの本でグラインドハウスの存在を知りました。

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映画評論家の町山智浩さんも当時の日本でのグラインドハウスの存在を熱く方ってらっしゃって読み応えばっちりですよ。

フェイク予告動画も見もの

実際のグラインドハウスでは、上映作品の合間に沢山の予告が流れていたのですが、それに倣って『プラネット・テラーinグラインドハウス』でもフェイク予告が流れます。

その予告編がダニー・トレホ主演の『マチェーテ』。
連邦捜査官のマチェーテがある議員の暗殺を頼まれることから始まる痛快スラッシャーアクション映画。
なんか予告編見ただけで大体の話わかっちゃったっていうくらい単純明快なんですが、ダニー・トレホの顔面の迫力がすごくてもうお腹いっぱい。

ただ面白がって予告編だけ作ってたんですが、その出来が良かったもんで本編後追いで作っちゃいました。
っていうことでできたのが2010年製作の『マチェーテ』。
ダニー・トレホの初主演作です。

なんとキャストにはジェシカ・アルバやリンジー・ローハン、スティーブン・セガールも名を連ねてるんだから、予告以上に豪華になっちゃってびっくり。
いつかこれもレビューしたいと思っております。


現代では皆ハイセンスになっちゃって、”低予算でもこれだけのものが作れる!”ってクオリティの高い作品がバンバン出てきてるけど、
低予算であろうが大予算であろうが、ただ欲望のままに楽しんで作ってできたB級作品ってものも、もっと大事に扱ってほしいと私は思っております。

ただただ暴力やエロスにまみれた作品は嫌いだけど、そこに作り手の熱意がみえればオールオッケー。

観客も肩の力抜いて観ればいんだから。

その手始めに(してはちょっと重ためかもしれんけど)『プラネット・テラーinグラインドハウス』、おすすめです!

『プラネット・テラー』がお好みのあなたにおすすめ!

★グラインドハウスで流通したリベンジムービーの先駆け。

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アサミヤカオリ

イラストレーター/造形作家/映画コラムニスト/漫画家

1983年生まれ。大阪出身。
2018年より徳島に拠点に移して活動中。

AWAP『映画コラム』/ BRUTUS『赤恥研究所』連載中
B級映画/ラジオ/観葉植物好き。最近は22時就寝5時起きで制作がんばってます。メキシコ行きたい。

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ゾンビホラー80点以上B級
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