映画『透明人間』あらすじ
強迫観念に囚われた恋人のエイドリアンによる束縛に苦しめられていたセシリアは、ある日の夜、意を決してセキュリティが張り巡らされた彼の豪邸から脱出することにした。逃亡に気付いたエイドリアンが凄まじい形相で追いかけてきたが、妹のエミリーの協力で何とか逃げ切ることに成功したセシリアのもとへ、ほどなくして「エイドリアンが手首を切って自殺した。彼は貴方に500万ドルの遺産を残した。」との一報が飛び込んできた。セシリアは自由だけではなく、莫大な財産をも手にしたが、「エイドリアンは自殺するような人間ではない。彼ほどの優秀な科学者なら自殺を偽造するくらい容易なはずだ。彼は今もどこかで私を見張っているのではないか。」という疑念に取り憑かれていた。
当初、セシリアの友人たちは彼女の疑念にまともに取り合おうとしなかったが、しばらくして、セシリアの周辺で怪奇現象が頻発するようになった。ここに至り、セシリアの疑念は「エイドリアンは何らかの方法で透明人間になり、私に復讐しようとしている」という確信に変わった。(Wikipediaより)
映画『透明人間』感想
透明人間の映画といえば、私世代(30代後半)はケビン・ベーコン主演の『インビジブル』ははずせない。
前半のちょこっとしか姿は写っていないのに、
徐々に悪戯がエスカレートする透明人間(不可視)がケビン・ベーコンにしか見えないという強烈な存在感。
90年代〜00年代初頭は、『激流』の強盗犯役もあって、ケビン・ベーコンの悪役が板についてましたね。
今作『透明人間』も、死んだはずの恋人が逃げた彼女を透明人間になって追い詰めるという精神的にじりじりくる作品です。
久々に120分超えの作品だったからちょっと再生ボタン押すのに躊躇したけど、まじで観てよかった。
受け取り方次第では後味が良くも悪くもなるような、めっちゃ余韻に浸れる作品でした。
『インビジブル』と違う点は、肝心の透明人間が死んだ恋人なのかはわからないし、
そもそも恋人の姿も冒頭少しシルエットがわかるくらいで、はっきりとした容姿を我々観客は確認できない。
だからこそ、”どこかに潜んでいるであろう透明人間“を画面の奥底まで感じ取らせる演出が素晴らしいのです。
主人公セシリアがシャワーを浴びるガラス越しに、嬉しそうに新調した洋服を並べるドアの向こうに、
尋問を受ける警察署の部屋の一角に・・・・
ただの空間なのに、なにか空気が動くのではないかと、観客も息を潜めて凝視してしまう。
いつ襲いかかってくるかもわからない透明人間の気配だけでこんなに肩が凝るだなんてね。
でも一番怖いのは、透明人間の存在を確信し、それが死んだ恋人だと疑わないセシリア。
周りに必死で訴えかけ、どんどん孤立していく彼女の顔面が、
まるで『シャイニング』のジャック・ニコルソン化していくのが恐怖。
迫真の演技を見せるセシリア役のエリザベス・モスが本当に素晴らしいです。
女を敵に回すとこえええぇぇぇぇってなるので、全国の男性に観て欲しい。
そもそも、なぜ人は透明人間になると悪事を働きたくなるのだろうね。
他人の目がないと、ここまで人は悪いことを平気でやってしまうものなのか。
透明人間という主題を映画にすると、必ずサイコサスペンスかエロに走ると思うんだけど。
健全な透明人間は生まれないものなのでしょうか。
そういえば目に見えない男の子と盲目の女の子が恋をする『エンジェル、見えない恋人』ってあったね。
まだ観てないけど、浄化されたい時に観てみよう。
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