職人俳優3人が圧巻の演技 -映画「フォックスキャッチャー」感想とイラスト- ※ネタバレあり

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この世にも奇妙な実話は、1984年のロサンゼルス・オリンピックで金メダルに輝いたレスリング選手、マーク・シュルツに届いた突然のオファーから始まる。

有名な大財閥デュポン家の御曹司ジョン・デュポンが、自ら率いるレスリング・チーム“フォックスキャッチャー”にマークを誘い、ソウル・オリンピックでの世界制覇をめざそうと持ちかけてきたのだ。
その夢のような話に飛びついたマークは破格の年俸で契約を結び、デュポンがペンシルベニア州の広大な所有地に建造した最先端の施設でトレーニングを開始する。

しかしデュポンの度重なる突飛な言動、マークの精神的な混乱がエスカレートするにつれ、ふたりの主従関係はじわじわと崩壊。
ついにはマークの兄で、同じく金メダリストのデイヴを巻き込み、取り返しのつかない悲劇へと突き進んでいくのだった……。

92点

実話がベースのスリリングなドラマ。

1996年に起きたデイヴ・シェルツ殺害事件

「フォックスキャッチャー」とは御曹司のデュポンが設立したレスリングチームで、そこで巻き起こったこの事件はwikipediaでも見て頂ければ全容はわかります。
なのでネタバレも何もないんですが、事件の全容を知っているからと言ってこの映画を端から観る価値がないなんてことは決してない。

なぜならこの映画の見所はスティーブ・カレル、チャニング・テイタム、マーク・ラファロ各人の最高に素晴らしい演技にあるからです。

まず、スティーブ・カレル演じる”ジョン・デュポン”
彼はアメリカでは有名な大金持ち。
世界一のレスリングチームを持つために財力を使って選手やコーチを集める。

財力はあるけれど、この人物、どう見ても人脈はなさそう。
あったとしても結局は「金で買った人脈」って感じで、決して人から好かれるタイプの人間ではない。
たぶん自分自身も人に受け入れられない人物像をわかっていて、だからこそ認められたいという承認欲求が半端ない。
突然銃をぶっ放したり、自分自身を讃えるドキュメンタリーを作ったり、痛々しくて危うい狂気を隠し持った人物。

このデュポンを演じたスティーブ・カレルですが、まず鼻を特殊メイクで高くしています。
実際のディポンの画像を見ると、確かに鼻の高さがそっくり。
ただ鼻を高くしただけなのに、この映画を見終わるまでスティーブ・カレルだと気づかなかったほどに役にのめり込んでいた。

見た目もだけど、立ち居振る舞いだけで狂気のオーラが漂っている。
マーク・ラファロも彼の演技を見て悪寒が走ったと言ったほど。

死んだ目の演技にご注目!!

そしてマークを演じるチャニング・テイタム
金メダルまで取っているのに、ぜんっぜん華がない。

ずっと俯き加減だし、質素なご飯を食べる姿がかわいそうになるくらい。
兄のデイブに劣等感を頂いて生きてきた彼は、デュポンに誘われフォックスキャッチャーに入団する。
初めて自分を認めてくれた人物に尽くす彼もまた、デュポンと同じく人一倍承認欲求を抱えている。
デュポンから友と呼ばれやっと承認欲求が満たされたと思いきや、結局のところ金で買われた友情、偽りのつながり。
兄の優しさも受け入れられない根暗なマーク。

そんなマークを”筋肉バカ”なイメージのあったチャニング・テイタムが見事に演じています。
”なかやまきんにくん”や”庄司智春”など日本の筋肉芸人さんたちから感じられるのは明るいイメージ。
だから根暗な”筋肉マン”って相当な闇を抱えているんだろうなと。
チャニング・テイタムも普段の明るそうなイメージを一掃して、心底劣等感に満ち溢れた弟役を演じています。

そんなマークを優しさで包む兄デイブを演じるのがマーク・ラファロ
弟と違って一目で人から好かれる人物だとわかります。
やさぐれて自暴自棄に走る弟を立ち直らせる愛に満ちた人物。

しかし彼も優等生すぎるという”欠点”がある。
たぶん、世のほとんどの人が感じたことがあるだろう”正義への反発”。
自分が間違っているとわかっていても、正論をぶつけられる程受け入れられず素直になれないことってないですか?
頭でわかっていも心では反発してしまう。
正論で凝り固まった人物がデイブであり、それが仇となってしまったのがこの事件の本質。

マーク・ラファロは優しくも劣等感に満ちた弟の気持ちを汲み取れない優等生という役をこれまた見事に演じています。

この3人の織りなす物語。

人によっては退屈にも感じるかもしれないほど静かに淡々と物語は進行するけれど、私は全く退屈せず片時も目を離せなかった。
いつデュポンが爆発するのか、3人の関係はいつ壊れてしまうのか。
ハラハラドキドキするピンと張り詰めた空気。
その張り詰めた空気はときにクスッとしてしまうようなコメディに転じる要素も持っている。
お葬式で絶対に笑ってはいけないのに、逆にクスッときてしまうような、コメディとシリアスの背中合わせの空気感。
それが色濃くこの映画には漂っていて、本当に飽きなかった。

最後に、なぜデュポンはデイブを撃ち殺したのか。
きっと優等生に劣等感を頂いたり正論を受け入れられなかったりと、頭と心が合点いかなかったことのある人にならきっと理解できるはず。

決して万人が面白いという映画ではないとは思いますが、見事な演技はぜひ観て欲しい!!!

 

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アサミヤカオリ

イラストレーター/造形作家/映画コラムニスト/漫画家

1983年生まれ。大阪出身。
2018年より徳島に拠点に移して活動中。

AWAP『映画コラム』/ BRUTUS『赤恥研究所』連載中
B級映画/ラジオ/観葉植物好き。最近は22時就寝5時起きで制作がんばってます。メキシコ行きたい。

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