バズるためならなんでもしちゃうぞ♡映画『スプリー』レビューとイラスト

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概要・あらすじ・キャスト

概要

Netflixドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のジョー・キーリー主演で、SNSの恐怖と不条理を描いたスリラー。(映画.comより)

あらすじ

ライドシェアドライバーのカート・カンクルはフォロワーを増やしたい一心であるアイデアを思いつく。それは乗客を手にかけ、その様子をライブストリーミングで配信するというとんでもないものだった。カートはSNSをバズらせて人生の一発逆転をもくろむが、「フェイクだ」「退屈だ」と、反応は散々なもので、まったく盛り上がる気配がない。思惑がはずれたカートの怒りの矛先は乗客にとどまらず、拡散させないインフルエンサーにまで向けられていく。(映画.comより)

キャスト

監督:ユージーン・コトリャレンコ

主演:ジョー・キーリー
   サシーア・ザメイタ
   ミーシャ・バートン

感想

10年間もSNS投稿し続けてきたにも関わらず一向にフォロワーが増えないことに悩んだカートは、ある突飛なアイデアで一発逆転を狙う。

行き過ぎたSNS依存の慣れの果てを描いたスリラー作品。

Z世代にフィーチャーしつつ、どの世代にも突き刺さる「ヤバさ」に満ちていて、一回り上の私も心がひりついた。

もっとお気軽な快楽殺人を描いたコメディーかと思いきや、話が包むにつれてどんどん緊迫していく空気感、まるで浅野忠信主演の『FOCUS』のような後味の悪さが印象的だった。

フォロワーを増やしたい一心でシェアドライブの乗客を殺す様をライブ配信するカート。

薬を使ったり車で轢き殺したり犬に襲わせたり電動ドリルで穴を開けちゃったり。

その手法は多岐に渡るのにフェイクやら嘘くさいやらと言われて全く相手にされない。

最初はそれにいちいち反応してキレまくる姿が子供そのものでイライラしっぱなしだったけど、ジェットコースターのごとく状況が悪化していく中で加速するサイコっぷりに鳥肌が立ちっぱなしだった。

失望したり激昂したりニヤつきながら人を殺したり・・・浮き沈みの激しい人物を見事に演じたジョー・キーリーはNetflixドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」に出てたんだね。見たことないから知らんかったけど。

短絡的すぎる発想で子供っぽいところも見せながら、背景にある家族絡みの哀愁も漂わせてて、快楽殺人とは違った後味に心が沈む。

特に興味深いのは、目の前の乗客は平気で傷つけるのに、人種差別や女性蔑視的発言には強く抗議するところ。

SNSやメディアで発言したら速攻で炎上するような内容には反応するのに、一方でホームレスは邪魔な存在だと車で乗り込んでいく点も正義に一貫性がなくて。

普段は「いい子」であろう少年が、目の前の利益(フォロワー数)に気を奪われて道徳心をいとも簡単に無くす姿は本当に現代っ子。

というより、人間の本能なのかもしれない。

5年先にもらえる100万円より、今すぐもらえる1万円の方が価値が高く思えるものね。

だからフォロワー数なんぞ気にしてない人間にも、心の奥底に突き刺さるものがある。

グロシーンは少なめにしろ、カートの死んだ目とフォロワーが増える悦びに満ちた表情のギャップに寒気がする恐ろしいホラー作品だった。

そうそう、ウクライナの新進気鋭の監督が作ってるんだけど、GoProやスマホを多用した映像も見応えあり。

基本カメラ視点のみの映像だからPOVの部類に入るんだけど、GoProの映像やスマホからの映像を一つの画面に収めているからすごく情報量が多い。

POVってカット割って存在しないんだけど、ストーリー上に違和感なく多数のカメラを配置することでカット割が機能してて上手いなと思った。見てて飽きがこない。

気持ちが決して上がる作品ではないけれど、新しい映像手法もただの快楽殺人とは違うダークな終わり方も記憶に残る傑作、だと私は思う。ぜひ。

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SNSの恐怖を描いた大作。だけどB級臭が漂うのがイイね。

アサミヤカオリ

イラストレーター/造形作家/映画コラムニスト/漫画家

1983年生まれ。大阪出身。
2018年より徳島に拠点に移して活動中。

AWAP『映画コラム』/ BRUTUS『赤恥研究所』連載中
B級映画/ラジオ/観葉植物好き。最近は22時就寝5時起きで制作がんばってます。メキシコ行きたい。

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2020年公開ホラースリラー
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