
概要・あらすじ・キャスト
概要
自分をいじめる同級生を目の前で誘拐された少女が究極の選択を迫られる姿を描いたスペイン発のリベンジホラー。テレビ業界でキャリアを積んだカルロタ・ペレダ監督が、ゴヤ賞を受賞した2018年制作の短編映画「Cerdita」を自らのメガホンで長編映画化した。「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」のラウラ・ガランが主人公サラを演じ、ゴヤ賞で最優秀新人女優賞を受賞。(映画.comより)
あらすじ
スペインの田舎町で暮らす10代の少女サラは、クラスメイトから執拗ないじめを受けていた。ある日、あまりの暑さに耐えきれず1人で地元のプールへ出かけた彼女は、そこで怪しげな男と、3人のいじめっ子たちに遭遇する。その帰り道、サラは血まみれになったいじめっ子たちが男の車で拉致されるところを目撃。警察や親に真実を打ち明けて捜査に協力するべきか、それとも沈黙を貫いて自分を守るべきか、決断を迫られるが……。(映画.comより)
キャスト
監督:カルロタ・ペレ
出演:ラウラ・ガラン
リチャード・ホルムズ
イレーネ・フェレイロ
感想
ビッグサイズな体型に血まみれで佇む少女。
その強烈なアイコンから「体型をバカにされてきた少女がいじめっ子に復讐するストーリーかな?」と想像しつつ鑑賞したら、とんでもなく捉えどころのない、それでいて強烈に記憶に残るノンジャンルな作品でしたよ。
ある日、自分をいじめていた同級生が拉致されるのを目撃したサラ。
そのことを誰にも言わず、事件が明るみになる中でも彼女は決して打ち明けようとしなかった。
警察や母親がその態度を不審がる中、犯人と妙な接点を持ってしまった彼女は意図せず事態に巻き込まれていく。
監督曰く、「何もしない」主人公を据えた物語を作りたかったそうで。
ホラー作品でも女性が殺人鬼に立ち向かっていく作品は数々あって、だからこそ物語は盛り上がるし、より凄惨なシーンを生むことになる。
だけど、サラは目撃者でありながらそれを黙認し、母親に対しても太々しい態度を取りながらも服従し、彼女は周りの流れに乗りながら、決して自ら問題を解決しようとはしない。
なのに、なぜか同級生を拉致した犯人によって、彼女はどんどんと追い詰められていく。
そのストーリーはまじで予測不可能で、これはサスペンスなのか?ホラーなのか?はたまたプラトニックなラブまで生じるのか?
監督が好きなものを詰め込んでいるような作品で、過度な説明はしないし一本筋が通った王道さもない。
だけど、観終わった時に「タイプです!」って叫んでしまったくらい、えもいわれぬ圧力にやられてしまったのです。
一応リベンジものという説明がなされてはいるけれど、そのリベンジとはどこに向かっているのか?
いじめっ子なのか、毒親である母親なのか、それとも犯人なのか。
その答えは見終わった後も曖昧で、この作品をどう捉えるかがとても難しい。
サラが爆発するエネルギー過多なラストは『ハイテンション』みたいだし、毒親からの解放という目線で見ると『テルマ』みたいだし。
どこに視点を置くかでも、この作品のジャンルは変わってくる。
『ハイテンション』が頭に浮かんできてちょっと想像しちゃんだけど、拉致から犯人の行動全てがサラの妄想だったのでは?なんて思ったりして。
ストレス過多によって生み出された妄想が彼女を血肉沸き立つ衝動に走らせ、親への激昂につながる。
つまりは最終的に、大人になりたくてもなれない、親によって精神的な成長を妨げられた少女の通過儀礼的作品だったのでは・・・なんて妄想をしてしまいました。
あとね、(ちょっとネタバレだけど)個人的には犯人とのプレトニックラブを貫いて欲しい!と思ったのよ。
あぁいう危うい関係の男女って観ててドキドキしちゃうよねー、なんて。
一言で表すのは容易ではない作品だけど、とにかくずっと胸をざわつかせていた、それは間違いない。
ハマる人にとっては一生忘れらない、そんな作品でございました。
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