
貧富の差が激しくなり、失業者が増え続ける80年代アメリカ。
放浪者のナダは建設現場で出会ったフランクと貧民キャンプに住むことになるが、そこで怪しい団体に遭遇し世界の真理に近づく事になる・・・。
ジョン・カーペンター監督の1988年のSFホラー作品。
ジョン・カーペンターといえば『遊星からの物体X』や『ハロウィン』などホラーやSFもので有名ですが、今作はそれに併せて物質主義社会への批判に満ち満ちた異色作。
個人的には骸骨のような風貌をした異星人のビジュアルに惹かれて鑑賞したのですが、なんとも硬派な男臭い出来でちょっとびっくりでした。
主人公のナダ役のロディ・パイパーやフランク役のキース・デイヴィッドといい、画面越しに汗の匂いが漂ってきそうな二人が延々とファイトするシーンなんか男くさいを通り越して野獣臭い。
ロディ・パイパーは元々プロレスラーってこともあって、なんとも重みのあるパンチの応酬。
5分を超える喧嘩シーンはもはや伝説となっているくらい謎なんですが、今作の訴えたいメッセージは非常にわかりやすい。
奇妙な団体が所有していたサングラスをかけると見えてくる異星人の姿や看板に隠された「従え」「消費しろ」「考えるな」といったサブリミナルな洗脳・・・・
裕福な人間は実は人間に擬態したエイリアンであり、メディアに仕込んだメッセージによって人間を無能化していたのだ!
騙されるな!流されるな!物質主義に踊らされるな!
画面からはそんな声がビンビン響いてきます。
今見るとわかりやすすぎるテーマに恥ずかしさすら覚えるんですが、
GHQが行ったとされている「3S政策(スクリーン、セックス、スポーツ)」を彷彿とさせる内容は特にオカルト好きとしては非常に興味深い。
ちょっと前まで「風の時代」(物質を手放す時代)に入ったとか言ってましたけど、だからこそ今『ゼイリブ』を観る価値があるなぁと。
でも私は断固「反断捨離主義」ですけどね。物は所有してなんぼです。
まぁテーマとかは置いといても、密かに地球を制しているらしい異星人のビジュアルの奇妙さが抜群だから、そこを目当てに観てほしい。
ラストの滑稽さも思わずクスッとしてしまう、なんとも愛嬌のあるエイリアンです。
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