『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』レビューとイラスト ※ネタバレあり

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映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』概要・あらすじ・キャスト

概要

ニューヨークのダウンタウンに店を構える売れない花屋の店員と吸血植物の愛憎を描く。ロジャー・コーマン監督の未公開作品“The Little Shop of Horrors(61)のミュージカル舞台劇版の映画化作品。監督は「ダーク・クリスタル」の共同監督でマペット作家のフランク・オズ、製作はデイヴィッド・ゲフィン、脚本・作曲はハワード・アシュマン、撮影はロバート・ペインター、プロダクション・デザインはロイ・ウォーカー、特殊視覚効果はブラン・フェエレン、“オードリー2”デザイン・創造はライル・コンウェイ、音楽はマイルス・グッドマン、作曲はアラン・メンケン、編集はジョン・ジンプソンが担当。出演はリック・モラニス、エレン・グリーンほか。(Yhaoo!映画より)

あらすじ

みなしごのさえないシーモアは、ムシュニク店長に拾われ育てられて以来、恋人の歯医者の暴力から逃れられないオードリーといっしょに花屋で働いている。そのシーモアが、ある日、中華街で奇妙な植物の鉢を買ってきた。それを店先に飾ったところ、客が興味をひかれて押しかけてきた。店長は、その植物を絶対に枯らすな、と命じるが、しかしその植物は、シーモアの血を吸う宇宙植物だった。(Wikipediaより)

監督

監督:フランク・オズ

キャスト

リック・モラニス:シーモア

ムシュニクに拾われた花屋の店員。

何をしても冴えないが、ある日皆既月食の日に手に入れた植物によって人生が変わっていく。

大きなメガネに見覚えあるこの人は、『ゴースト・バスターズ』でも気弱な兄ちゃんを演じていましたね。

●オードリーⅡ

シーモアが手に入れる奇妙な植物。

実は吸血植物で、でかくなるとしゃべるし歌う。
自分で電話してオードリーを呼び寄せるなど知的レベル高。

●エレン・グリーン:オードリー

シーモアと働く花屋の店員。

彼氏持ちだが、サディスティックなためにいつも傷が絶えない。

常に胸元が開いた服を着てる金髪美女。声が嘘みたいに高い。

●ヴィンセント・ガーディニア:ムシュニク

花屋の店長。

シーモアを拾った優しい一面もあるが、彼の日々の失敗には飽き飽きしている。

●スティーヴ・マーティン:オリン

オードリーの彼氏。

人を痛めつけることが大好きなSっ気満々歯医者。

●ビル・マーレイ:アーサー

痛めつけられることが大好きなM男。

ビル・マーレーである必要あった?ってくらいのちょい役。

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』感想

88点

こんちゃ!アサミヤです。
今回ご紹介するのは、1986年のモンスターB級映画。

なぜこれを観たかというと、ただただB級のホラー映画が観たかったからなんですが、いざ観初めてびっくり仰天。

全然ホラーじゃねぇ。
てかミュージカルやん!

そうです、初っ端から歌い出すんですよ、謎の黒人3人女子が。

この3人、その後もちょこちょこ出てきては歌いまくるんですけど、結局誰やってん・・・で終わります。

ホラーを観たかった私は突然の出来事に唖然としたんですが、舞台造形やカメラワークの徹底したミュージカル演出と素晴らしい歌声にあれよあれよとのめり込んでしまいました。

ということで、今回は一風変わったホラー+ミュージカル作品である『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』をご紹介します。

映画→ミュージカル→映画

内容の説明の前に、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』が辿って着た経緯をご紹介したいと思います。

元々は低予算映画の王者とも呼ばれるB級界の帝王、ロジャー・コーマンが監督したのが1960年の『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』でした。
私は未見なのですが、Wikipediaを読む限り、今回ご紹介する1986年版と登場人物は同じですが人物設定が違うようですね。
そして内容もよりホラー感が強めのようで・・・バットエンドで終わるんだとか。

どちらかというときっちりホラーを味わいたい方はロジャー・コーマン作品を観た方が良さそうです。

 

そして1982年にミュージカル化され、大ヒット。

ミュージカルがヒットしたことで、ハリウッドでリメイクされたのが今回ご紹介する『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』です。

ただ、ロジャー・コーマン版やミュージカルのように悲劇で終わる予定が、不満が出てラスト10分が追加されたそうです。
そのおかげでとてもハッピーな終わり方になりましたが、果たしてそれで良いんだろうか・・・と思っちゃうほどご都合主義なんですよね。

そこら辺は後ほどご説明します。

本当にそれで良いのか、な展開

冴えない花屋の店員シーモアが、ある日奇妙な植物(オードリーⅡ)を手に入れたことから有名になり好きな女性とも結ばれるが、その植物は血を求める吸血植物だった・・・っていうのが大まかなあらすじ。

初めはシーモアの血をあげていたけれどそれだけでは足りず、ついに死体を手に入れてオードリーⅡに食べさせちゃうっていう展開に。

オードリーⅡは血を与えてくれる代わりにシーモアを有名にして意中のオードリーともくっつくように(彼氏を喰って始末するという暴挙)してくれるんですが、オードリーⅡのたくらみを知って立ち向かうことを決意するシーモア。

↓初めは指先の血でも満足していたシーモアⅡだが・・・

↓次第にでかくなって人間もろとも喰う怪物に

↓ラジオに出演して有名になったり・・・

↓意中のオードリーとも良い仲になるも・・・

↓お前を放ってはおけない!!

オードリーⅡは宇宙から来た異星植物で、地球にはびこることで全人類を喰らい征服しようと企んでいたのだ!

それを知ったシーモアはオードリーⅡを始末しようとするも、争った挙句建物の下敷きになってしまいここまでか・・・

と思いきや、電気配線を使ってオードリーⅡを見事退治したシーモアでした。

そして無事オードリーとも結婚し、念願だったマイホームを手に入れたのでした。

めでたしめでたし・・・

 

じゃねぇ。

 

直接気に手を下してないにしても、シーモアはオリンとムシュニクをオードリーⅡが食べるように仕向けていて、そのことに関しては一切振り返らずに終わっていくんです。

キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』みたいに、誰かを救うために誰かが犠牲になることは許されるのか議論みたいになってきますが、ちょっと真面目な節があるアサミヤ的にはもう少し一考してほしかったなって思うんです。

まぁホラーというよりはコメディ要素が強いし、所々3人のお姉さんが現れては歌い出されるもんだから、もうストーリーの中身なんてどうでも良くなるんですがね。

たぶん、ヘビーな豚骨ラーメンが食べたかったのに、超あっさり塩レモンラーメンが目の前に出てきたからがっかりしている、そんな気持ちなんしょうね。

最後に一発シーモアに制裁を加えても良かったんじゃないか・・・でもそれじゃぁロジャー・コーマン監督作品と同じになっちゃいますから、能天気なまま終わる今作の終わり方もありなんでしょうか。

一応最後にシーモアとオードリーの夢のマイホームの庭先にミニオードリーⅡがいて意味ありげな笑いで終わるので、含みを持たせたラストとしては良かったと思いますが。

全くもってホラーではなく、ミュージカルとして楽しめる一風変わった作りが売りの今作ですから、ご家族で観ても楽しいんではないでしょうか。

オリンの中毒性

私がシーモアに制裁を加えたくなる気持ちの一つに、オードリーの彼氏であるオリンへの愛着がどんどん湧いてきたことが要因としてあるんです。

とんでもないサディストで、母親からも人を痛めつけるのが好きなんだから歯医者に向いているという助言を受けたという逸話の持ち主で、実際に歯医者になった今も麻酔を患者に使わず自らに麻酔を用いてハイになってから痛めつけまくるという狂いすぎな人物。

↓突然バイクに乗って歌い出したと思いきや

↓病院に来るなり踊り狂って看護師を殴り

↓自ら麻酔を使い

↓ノリノリで治療しちゃうぜ!

↓治療っているより拷問だぜ!

こんな狂った人物にどう愛着湧くんだってお思いでしょうけど、自分でも不思議で仕方ありません。

きっとオリンが終始楽しそうに人を痛めつけている姿に、無邪気さを感じたんでしょうね。

現在お腹に子がいるアサミヤは、何か母性をくすぐるものを感じ取ったのではないでしょうか(だったらやべぇな)。

きっとご覧いただければオリンの魅力に気づく方もいらっしゃると思うので、騙されたと思ってオリンの踊り狂う姿を堪能してくださいませ。

 

ちなみに、オリンの噂を聞きつけてウキウキでやってくる超M男が登場します。

なんとビル・マーレイ。

あんなことされてもこんなことされてもウヒヒで「止めないで〜!もっとやって〜!」と喜ぶ姿の方がよっぽど狂気なので、ぜひこちらもご覧いただきたいものです。

まとめ

超B級ホラーを期待していた私としては驚きの展開でしたが、CGがある時代でもスタッフの手作りで、尚且つ10人以上で動かしているというオードリーⅡの不思議な愛嬌、そして全編を彩る歌が素敵すぎな作品でした。

人間を喰らうシーンがありますが、全くもってグロさはなく子供でもOKな表現なので、個人的にもお腹の子が産まれたら一緒に観たいなと思いましたよ。

一応「こんなに都合よく事は進まねぇよ」ということは教えておきたいと思います。

ぜひホラーが苦手、一風変わったミュージカル作品が観たいという方はご覧ください!

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