
映画『アンセイン〜狂気の真実』概要・あらすじ・キャスト
概要
『トラフィック』などのスティーヴン・ソダーバーグが監督を務めたサイコサスペンス。ストーキングのためにカウンセリング施設に入院させられた女性の行く末を描く。『ミスティック・アイズ』などのクレア・フォイ、『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』などのジョシュア・レナード、『トランストリップ』などのジュノー・テンプルらのほか、『オデッセイ』などのマット・デイモンも出演した。全ての撮影をiPhoneで行っている。(Yahoo!映画より)
あらすじ
ソーヤー(クレア・フォイ)は、デヴィッド(ジョシュア・レナード)からの執拗(しつよう)なストーカー行為から逃れようと、母親にうそをついて引っ越しをする。しかし、精神的な苦痛は続き、ソーヤーはあるカウンセリング施設でカウンセラーと話をするが、強制的に入院させられてしまう。看護師や警察に助けを求めても誰も取り合ってくれない。そしてデヴィッドが施設の職員としてソーヤーの前に現れる。(Yahoo!映画より)
監督
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
キャスト
●クレア・フォイ:ソーヤー・ヴァレンティーニ
ストーカー被害に悩みカウンセリングを受けるも、強制的に入院させられてしまう主人公。
見るからに気が強そう。
クレア・フォイと言えば『ドラゴン・タトゥーの女』の続編『蜘蛛の巣を払う女』で新ヒロインを演じてますね。
やっぱりどこか他人を相容れない強い女が似合うんでしょうか。
●ジョシュア・レナード:デヴィッド・ストライン
ソーヤーを執拗に付け回すストーカー野郎。
もんのすごい不気味な雰囲気が見事にハマり役なんだけど、こういう人って実は本来めっちゃ男前だったりするんだよなって思って画像検索したら、海外ドラマ『ニュースルーム』に出てたアリソン・ピルの旦那だった・・・。
マジか。美女と野獣。
●ジェイ・ファロー:ネイト・ホフマン
ソーヤーと同じ病棟にいる患者。
他の患者より大分まともというか正常人間。
●ジュノー・テンプル:ヴァイオレット
常に腰に刃物を隠し持っているやばい患者。
初日に「寝たらあんたの髪の毛剃ってやるからね!」と背中越しに言われる恐怖・・・。
本当のジュノーちゃんはこんなにかわいいのよ↓↓↓
●マット・デイモン:ファーガソン刑事
ソーヤーがストーカーの被害届を出した時の担当刑事。
ってマット・デイモンやん!
本当にチョイ役なんですが、元々ソダーバーグ監督と仲が良いらしいです。
映画『アンセイン〜狂気の真実』感想
80点
こんちゃ!アサミヤです。
今回ご紹介するのは『アンセイン〜狂気の真実』。
まず、「アンセイン」ってどんな意味なんやろ?と思って調べたら、”狂っている“という意味の「insane」の造語なんだそうです。
つまり、「un(〜ではない)」+「insane」で「完全には狂ってへんけど、どっかおかしいよね」ってことを言いたいのかなぁって感じです。
タイトル通り、どんどん狂気が加速していく今作ですが、一つ押さえておきたいポイントは全編iPhoneで撮影されていること。
本当にiPhoneで撮影してますね〜。
使用した機種はiPhone7だそうです。
最初は「これ、iPhoneで撮ったんだなぁ」という脳で観てるので、ちょっとした画角とか過剰な奥行きに違和感を覚えていましたが、しばらくしたらそんなことどうでもよくなるくらい話にのめり込んでしまう素晴らしいストーリーテリングでしたよ。
映画『アンセイン〜狂気の真実』軽いあらすじ
主人公は仕事がバリバリできるがどこか冷酷なキャリアウーマンのソーヤー。
彼女はストーカーの被害に悩んでおり、母親にも内緒で遠い街にやってきた。
そんな彼女は引越し先の職場や行く先々でストーカーの姿を見るようになり、異性との接触することもトラウマになっていました。
なんとか克服しようとカウンセリングに行くのですが、何かの手違いかその場で強制入院させられてしまうのです。
警察に助けを求めるも、他の患者も助けを要求するのか軽くあしらわれる↓↓↓
なんとしても出してもらおうと暴れる彼女は、余計に自らの首を絞め、入院期間を伸ばされる始末・・・。
そして、その病院でもストーカーが働いている姿を目にするのです。
これがそのストーカー↓↓↓
ブ・キ・ミ♪
しかし、ストーカーであるデヴィッドとは名前も違うし、周りのスタッフに訴えても彼に怪しいところはないと取り合ってもらえず、むしろ彼女は錯乱しているとして鎮静剤を打たれる始末・・・。
ここら辺から、「あれ、もしかしてソーヤーって本当にイっちゃってる??」と鑑賞している側も疑い始めるんです。
「ストーカーが私の側にいる!早く出せこのやろー!!」「私は狂ってない!!」とか叫ぶソーヤーを見ていると、どんどん気が滅入ってきて「なんて妊婦の精神状態に悪い映画を観てしまったんだ(現在妊娠中)」と少し後悔の念が入り始めたんですが・・・。
実はストーカーは本当に精神病棟で働いていてソーヤーを監視していたという事実がわかってから、どんどん面白みを増してくるんです。
本当にヤバいのはソーヤーだった。
このストーカーのデヴィッドは、邪魔者になりそうなソーヤーの母親やソーヤーと仲良くなっていく患者のネイトを殺してしまうほどのヤバイ奴。
このネイトがめっちゃ良い奴で、唯一の救いだったのに・・・↓↓↓
サイコ野郎特有の「君と一緒になるために僕がんばってるよ、こんなに愛しているのになぜ伝わらないの?」という自分勝手な妄想でどんどん突き進んで行く姿は鳥肌モノ。
しかしです、『アンセイン〜狂気の真実〜』のケレン味はサイコなストーカー野郎ではなくて、主人公であるソーヤーにあるんです。
体も大きくて絶対力では勝てなさそうなデヴィッドに対して、「オメェのことなんかこれっぽっちも好きじゃねぇんだよ!!」とキレて逆に暴言吐きかける姿は、「やっぱりソーヤーってやばい奴?」って思っちゃいます。
「オメェの好きなソーヤーちゃんは本当のアタイじゃねぇんだよ」なんてことを言っておられます。↓↓↓
最終的に「あなたにとって私が初めてじゃ嫌なの(つまり童貞は嫌ってこと)。私の目の前で誰かとヤって。そしたらあなたについて行くわ」と、とんでもないこと言い出すソーヤー姉さん。
何かにつけて喧嘩ふっかけてくる患者のヴァイオレットを連れてきて、目の前でさせようとする狂った展開に。
ヴァイオレットを演じるのは我が心のセクシー少女ジュノー・テンプル。見事な狂いっぷり。↓↓↓
実はヴァイオレットがいつも隠し持っているナイフを奪ってデヴィッドを襲うための奇策だったんだけど、よくそこに持っていくよね、本当感心しかない。
最終的にデヴィッドをやっつけて、精神病棟も金稼ぎのために大して病気でもない人間を無理矢理入院させていたという事実がマスコミにバレて(実はネイトは実態調査するために潜入していてメモを隠し持っていた)、めでたしめでたし・・・かと思いきや。
日常生活に戻ったソーヤーは、あるときレストランでデヴィッドの後ろ姿を目にし、ナイフを片手に近寄ります。
振り返ったその男は・・・・全くの別人。
結局ソーヤーは、ストーカーの魔の手からは逃げられても、心は囚われたままだった・・・というオチ。
みんなどこかで狂ってる。
ソーヤーは徹底的に冷酷で決して人に好かれない人物として描かれています。
私も全くソーヤーに感情移入もしなかったし、「こんなキモい奴に追い回されてかわいそう」なんて1ミリも思いもしませんでした。
普通、ストーカーから逃げ回る内容なら主人公の女性をか弱く描くと思うんです。
じゃないとストーカーの真の恐怖が追い回される側から伝わってこないし、ハラハラドキドキしませんよね。
なぜそう描かなかったかというと、これは私が想像するにですが、『アンセイン〜狂気の真実〜』は精神病棟に間違って入ってしまった恐怖やストーカーの脅威を描きたかったのではなく、「結局誰もが狂ってる」ってことを描きたかったんだと思います。
冒頭で書いた通り、誰もが完全なる狂気ではないけれど、どっかネジ緩んでよね、狂ってることあるよね、ってことを描いた作品なのではないでしょうか。
ソーヤーも患者を当たり前に強制入院させて薬を投与する病院のスタッフも、それを正義と言っちゃう院長も、みんなどこか狂ってる。
狂ってるかどうか、正気かどうかを決めるのは、結局自分ではなくて周りなんだってことも今作を見て思いました。
まとめ
同じソダーバーグ監督作品である『ローガンラッキー』も一緒に借りて観たんですが、断然『アンセイン〜狂気の真実〜』の方が好みでしたね。
もっとB級路線狙った方が大成するんじゃないの?なんて上から目線ですけど思ってます。
批評家からも「最高のサイコスリラー」なんて言われてる『アンセイン〜狂気の真実〜』、ぜひじわっとくる後味の悪さをみなさまも噛み締めてください!
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●こちらもストーカーの恐怖を描いた作品。逃げ回る度にプルプル揺れるOPAIも素敵です。

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