あらすじ&キャスト
アカデミー賞で史上最多14ノミネート、その内6部門を受賞したミュージカル・ロマンチック・ドラマ。
キャストは3度目のタッグとなるエマ・ストーンとライアン・ゴズリング。
キャストは3度目のタッグとなるエマ・ストーンとライアン・ゴズリング。
あらすじはこちら↓↓
女優を目指すもことごとく挫折を味わうミア(エマ・ストーン)と、同じくジャズを広めようと奮闘するも失敗ばかりしているセブ(ライアン・ゴズリング)。二人の最悪な出会いから、才能に惹かれあい恋に落ちていく様をミュージカルに乗せて華麗に描き出す。
86点
『ララランド』感想
歌って踊っての典型的なミュージカル作品。
予告を見る限りこれは力抜いても観に行けるわぁと、30代迎えてからというもの眠気と闘いながら鑑賞することの多くなった体を励ましながら劇場に向かいましたよ。
結果、一睡もせず、いや、眠気の気配すらなく
楽しい2時間(あっという間で1時間半くらいに感じたくらい)を過ごしてまいりました。
楽しい2時間(あっという間で1時間半くらいに感じたくらい)を過ごしてまいりました。
その感想を雑なイラストと共に僭越ながらこちらにまとめさせて頂きたいと思う次第でございまし。
監督は「セッション」でも実力を世に知らしめた若き秀才デミアン・チャゼル。
若干32歳。
この歳でアカデミー監督賞最年少受賞。
若い。。。
日本の社畜世界なら、仕事にも慣れてベテラン臭が漂いだす頃合いかもしれないが、監督業でこれだけの実績を残すのは異例の若さ。
それも若者特有のテンションだけでハッチャケて最後までイっちゃってどうだこの映像美と疾走感みたいな間違った見せ方もしない。
「セッション」においても、この「ララランド」においても、見せ方がとても丁寧なのです。
特に演奏する手元のクローズアップが効果的で、二作品通じてのテーマである音楽(特にジャズ)を強く印象づけている。
「セッション」を観ていて気付いたんですが、彼の作り出す世界はまるで舞台を観ているような良い意味で「作り物」感がある。
もともと「映画」というのは、1895年にリュミエール兄弟によって発明された、「ただ日常を切り取った映像」から始まっています。
”ワァァーー!!列車がこちら向かってくるぞー!!ニゲローーーー!!!”と観客が驚いて逃げ出したという有名なエピソードも残っていますよね。(「ラ・シオタ駅への列車の到着」)
”ワァァーー!!列車がこちら向かってくるぞー!!ニゲローーーー!!!”と観客が驚いて逃げ出したという有名なエピソードも残っていますよね。(「ラ・シオタ駅への列車の到着」)
その後、これもかの有名な「月世界旅行」がジョルジュ・メリエス監督によって作られましたが、これは完全に劇であり、日常からかけ離れた’作り物’でした。
200年をかけて成長してきた映画作りの手法は今や’作り物であること’よりも’リアリティー’を求めた手法になってきたと思います。
CG・VFX技術しかり、演技しかり。
現代に至ってドキュメンタリータッチの手法が好まれる中、このデミアン監督の作風は「月世界旅行」のジョルジュ監督が作り出した’作り物’、’見世物’という表現に通じるものがあるような気がします。
前作の「セッション」は、プロのジャズドラマーを目指す若者がスパルタシモンズ(フレッチャー教授)にしごかれすぎて挫折を味わうという、、こう書くと「ありそう」なストーリーですが、とにかく演出がすごかった。
完全にいかれた暴言を吐き、ふつーに暴力を振るうフレッチャー教授の鬼スパルタ、血しぶきが飛ぶほどの苛烈な演奏シーン、最後には悟りを開いたようにものすごい演奏しちゃうアンドリュー・・・・過剰なんです、演出が。
完全にいかれた暴言を吐き、ふつーに暴力を振るうフレッチャー教授の鬼スパルタ、血しぶきが飛ぶほどの苛烈な演奏シーン、最後には悟りを開いたようにものすごい演奏しちゃうアンドリュー・・・・過剰なんです、演出が。
もしこれを変にドキュメンタリータッチに寄せて作っていたら、フレッチャー教授の怪演とも言える迫力あるシーンなんて生まれていなかったと思うんですね。あったとしてもそこだけ妙に目立っちゃって。
※ちなみに今作品にもシモンズは出てきますが、ほんのチョイ役。
クルクルっと手を回して和かに踊る姿が鬼教官とギャップがあり過ぎて逆に恐怖が増して笑けてくる始末。
過剰な演出でも一つの物語としてうまく収拾されて面白い作品に成り立っているのは、映画とはやはり’作り物’だという意識がデミアン監督にあるからではと思索しております。
私が崇拝するみうらじゅん氏もおっしゃってましたよ。
「嘘がある方がおもしろい」って。
現実の方が把握しきれないくらい複雑で変なことも沢山起こるんだけど、それをおもしろく人に説明したりするにはやはり嘘を交えないといけない。
その嘘こそが映画的演出であり、今回の「ララランド」の要である「ミュージカル」にも繋がるのではと。
本筋とは関係のないところで熱が入りましたね・・・すみません。
とにかく素敵な嘘で塗りつぶされた夢物語てことですね。
恥ずかしながら私、「The OC」というドラマの話が出てくるまで映画の舞台は60年代とか70年代だと思い込んでいました。
(※映画内では『The OC』のこと小馬鹿にした感じだったけど、オレンジカウンティに集う金持ちボンボンと極貧暮らしから這い上がる主人公の恋愛物語や夢追い物語がとっても面白いよ。)
衣装や町並み、初っ端に出てくるカフェに現れる女優さんの身のこなし・・・全てが可憐で優雅で現代にはない優美な世界観で溢れているのです。
よく考えれば携帯使ってたりすんだけど、それが余りにも自然に60年代の空気に溶け込んでいて、それも嘘の世界観をうまいこと作り上げているからなんだろうなと。
ミュージカル映画って現代では「シカゴ」とか「アニー」とか「ダンサー・イン・ザ・ダーク」とかありますが、私も今までの全てのミュージカル映画を観たわけではないので比べるにはおこがましいのですが、「ララランド」は舞台が現代であることは明白であるにも関わらず時代を遡っているかのような錯覚を覚えるくらい時空さえも演出してしまっている・・・と自分で言いながら何やようわからんようなってきましてん(急に大阪弁)・・・・。
とにかく作り込みが凄い。
往年のミュージカルを彷彿させながらも古臭くなくミュージカルに慣れない者でさえ楽しめる、そんな映画を若干30代の監督が作ったという驚き。
もう一つの驚きポイントはライアン・ゴズリングのピアノの腕前。
前回の「セッション」のマイルズ・テラーのドラム演奏にも驚かされましたが、今回もライアンは自らピアノを演奏しています。
ずっと前からやってたのかなー?と思いきや、たった3ヶ月であれだけ弾けるようになったそうな。
どんだけゲイ達者・・・いや、芸達者やねん。
海外の俳優さんの底力半端なくて引いてまうわ、これ。
ミュージカルと言えば歌とダンスですが、オープニングで渋滞の最中車中で女性が歌い出して一人カラオケかなと思いきや車を飛び出して練り歩き続々と人々が歌い踊り出し、果てはトラックの荷台にパーカッション部隊まで待ち構えているという、現実では到底ありえない素敵シチュエーションがイキナリ楽しめます。
正直「おおーいきなりかぁ・・・日本人としてやっぱミュージカルって乗り切らんわぁ」とか半笑いでおったんやけど、もう人が続々と車から這い出してきて最後バンっとタイトルが映し出されるまで鳥肌立ちまくりで、歌の終わりには拍手したくなりましたもの。
完全ノックアウト。
わし日本人やけぇ、人が話しとったらいきなり歌い出して手を取って踊り出しよる姿なんか寒うて見とれんわ
なんていうお父さん、いや、全ての日本国民よ、その食わず嫌いを一度悔い改めよ。
寒さを乗り越えたところに快楽はあるのだから。
予告でも流れポスターにもなっているエマとライアンの見事なダンスも見物。
エマのスカートフリフリしながら可愛げに踊る姿はもちろん、
ライアンのクイっと曲がった手首の角度にも注目でっせ。
参考なでに雑なイラストも載せときます↓
アカデミーで作品賞取ったどおおおお!と歓喜したのも束の間、実は間違いでしたーーーなんていう屈辱的なオチを味わった作品ですが、
作品賞取っててもおかしくはないくらいの内容です。
あっ、もしかしてその一連て最後セブが回想する別世界Ver.を体現していたのではっ(゚ω゚;)
なんて思ったりそんなわけないかなんて冷めてみたり。
ただのラブロマンスかと思いきや意外と最後はグッときて、やはりこの監督タダ者じゃねぇなと胸に刻みながら映画館を去りました。
先にも書きましたが、
ミュージカル嫌い、然りはミュージカルなんて食してみる価値もないぜなんてうそぶいている方々!
ララランドを観てミュージカルの面白さを味わってみよし。
保証はしないけど面白いよ。
ちなみにSpotifyでサントラ全曲聴けるみたい。
見終わったら絶対聴きたくなるから!
それは保証するから!!
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コメント
[…] アカデミー受賞作品である『ララランド』の製作チームが作ったというんだから、こりゃ期待しないわけにはいかない。 […]