ノンジャンルな映画体験『罪人たち』レビューとイラスト※ネタバレなし

スポンサーリンク

概要

解説・あらすじ

「ブラックパンサー」「クリード チャンプを継ぐ男」のライアン・クーグラー監督が、これまでの長編作品でも数多くタッグを組んできたマイケル・B・ジョーダンを主演に迎えて描いたサバイバルスリラー。
主人公の双子をジョーダンが1人2役で演じ、「バンブルビー」のヘイリー・スタインフェルド、「フェラーリ」のジャック・オコンネル、「ザ・ファイブ・ブラッズ」のデルロイ・リンドーが共演。クーグラー監督が脚本・製作も務め、スタッフにも美術デザイナーのハンナ・ビークラー、作曲家のルドウィグ・ゴランソン、衣装デザイナーのルース・ E・カーターら「ブラックパンサー」のチームが再結集した。(映画.comより)

あらすじ

1930年代、信仰深い人々が暮らすアメリカ南部の田舎町。双子の兄弟スモークとスタックは、かつての故郷であるこの地で一獲千金を狙い、当時禁止されていた酒や音楽を振る舞うダンスホールを開店する。オープン初日の夜、欲望が渦巻く宴に多くの客が熱狂するが、招かれざる者たちの出現により事態は一変。ダンスホールは理不尽な絶望に飲み込まれ、人知を超えた者たちの狂乱の夜が幕を開ける。(映画.comより)

キャスト

監督:ライアン・クーグラー

出演:マイケル・B・ジョーダン
   ヘイリー・スタインフェルド
   マイルズ・ケイトン

感想

吸血鬼ものといえば何を思い出します?

『トワイライト』?『インタヴュー・ウィズ・ヴァンパイア』?『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』?

私はね、タランティーノの『フロム・ダスク・ティル・ドーン』!

善良な牧師一家が犯罪者に拉致られて連れて行かれた酒場がなんとヴァンパイアの巣窟だった!っていう、前半と後半でガラッと雰囲気が変わるタランティーノ節の効いた作品が、私にとってのタランティーノ初体験だったこともあってものすごく記憶に残っていて。

まさかあのときの衝撃と興奮を再度、いや、上回ってくる作品に出会えるとは!!

今回ご紹介する『罪人たち』は1930年代のアメリカ南部を舞台にしたホラー作品なんだけども、重厚な人間ドラマを下地にしているだけあって中盤から訪れる転換期の衝撃ったら!

さらっと全体像を言うと、シカゴで悪さをしてきた双子が地元の田舎に戻ってきて一攫千金を狙ってダンスホールを開店させて大盛り上がりなところに怪しげな白人がやってきて追っ払ったと思ったらそいつらはなんとヴァンパイアだったっていう、なんかもうB級としか思えない展開なのね。

なのに、さすがは『クリード』や『ブラックパンサー』の監督のライアン・クーグラー!

奇妙な空気感を醸しつつも、俳優陣の演技力やすんばらしい音楽の力も相まってごちゃごちゃになりそうな要素をうまくケミストリーさせて一つの大作に仕上げてるのです。

ずっとさぁ、「これナニ?」って思いながら鑑賞してたんだけど、ホラーなのか音楽映画なのか人間ドラマなのか、要素がたくさんありすぎて頭がパニックになる体験をして。

でもそれは決してマイナスではなくて、それぞれの要素全ての出来が素晴らしいし、一つの作品で映画に存在する全てのジャンルを一度に味わえたような充足感が半端ないんですよ。

マイケル・B・ジョーダンの一人二役もすごかったなぁ。

なぜ一人二役なのか?という疑問も抱きつつも、「善と悪」「白と黒」「陰と陽」といった裏表を体現させて存在だったのかなぁと思いつつ。

そこはみなさんそれぞれの答えがあるのでは。

さらにもう一人の主人公であるギター弾きのサミー。

若き彼が牧師である父の抑圧から逃れ、この悪夢のような一夜を過ごした後にどうなっていくのか。

その後も描かれているのが胸熱で・・・!

人生最高の瞬間から一気に最悪の日へと転ずる、ジェットコースターのような一夜を描いてるんだよな。

最後に残るのは、ホラーを観た時のそれではなくて、重厚な一代記ものを観た時の満たされ方なのですよ。

兄弟の絆を描いたドラマとしても、「真の音楽は悪魔を呼び寄せる」という劇中の言葉通り悪魔的魅力に満ちた音楽映画としても、そしてしっかりグロさもあるホラー映画としても、ジャンルごっちゃ混ぜ、故にノンジャンルな体験ができる最高の作品でございました。

監督が「これは映画好きに送るラブレター」と言ってらっしゃったので、ぜひ映画好きの皆さま、ラブレター受け取られし!

こちらもおすすめ

ジョシュ・ハートネットVSヴァンパイア!!
どうでもいいけど、ジョシュはいいおじさんになったねぇ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました