現代社会の闇に狙われる一夜。映画『ハンテッド 狩られる夜』(2024)

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概要・あらすじ・キャスト

概要

「ハイテンション」「ヒルズ・ハブ・アイズ」の鬼才アレクサンドル・アジャ製作のもと、「マニアック」のフランク・カルフンが監督を務めたサバイバルスリラー。2015年のスペイン映画「シャドウ・スナイパー」を原案に、孤立無縁のガソリンスタンドで残虐なスナイパーに命を狙われ続ける女性の運命をスリリングに描き出す。(映画.comより)

あらすじ

製薬会社フィンザーでSNSマーケティングを担当するアリスは、不倫相手である同僚との密会後、深夜に夫のもとへ家路を急いでいた。その途中、人里離れたガソリンスタンドに立ち寄るが、従業員の姿は見あたらない。仕方なく店を出ようとした瞬間、突然どこからか銃弾が飛んできてアリスは腕を負傷し、彼女を心配して店に入ってきた不倫相手が射殺されてしまう。スマートフォンも撃ち壊され助けを呼ぶ手段はなく、スナイパーの目的すらわからないまま、悪夢のような一夜が幕を開ける。(映画.comより)

キャスト

監督: フランク・カルフン

制作:アレクサンドル・アジャ

出演:カミーユ・ロウ
   ジェレミー・シッピオ
   J・ジョン・ビーラー

感想

愛人と訪れたガソリンスタンドで謎の襲撃者に撃たれたアリスは数少ない死角に隠れながら何とか脱出を図る・・・。

大大大好きなワンシチュエーションスリラーで公開時から楽しみだったんですが、「わーいワンシチュだワンシチュだー」と気軽に再生したら思ったより重めなテーマがてんこ盛りでちょっと疲れちゃった・・・

監督は『マニアック』のフランク・カルフン、制作は『ハイテンション』のアレクサンドル・アジャとあって重厚な痛みを見せてくれる点においては二重丸なんですが、犯人とのトランシーバーを介した会話劇がメインで、その内容が陰謀論やら反ワクチンやら性差の重圧やらSNSの誇大広告やらと現代社会の闇みたいなものがいっぱいいっぱいでね。お腹いっぱい。

鑑賞後、数時間経ってだいぶ消化できてきた今となっては、逆にあれだけ詰め込むことでギャグに転ずるというか、もはや無だな、と思ってきたけどね。

誰もが思い描く現代の闇を散りばめることで犯人の意図を明確なものにはせず、焦点がわからないままに進行させる意図があったのかな、と思ったり。

なぜアリスが襲われるのか、犯人の意図は何なのかは正直どうでもよくて、逃げ場のない状況でどれだけ痛めつけるか、そして現状を打破するかに焦点を絞った作品なのです。

だから狩る立場の人間はもちろん悪なんだけども、不倫をしてSNSを使った広告戦略を打つ立場のアリスも社会的に観たら「悪なのであって、双方を相対的に描くことでわざと感情移入させないようにしているな、と思いましたね。

だからこそラストに訪れるあるシーンには胸が詰まって、『ハイテンション』的な、何とも言えない不穏さに包まれました。

ワンシチュエーションスリラーとしてはもう少し手法を凝らして欲しかった部分もあるけれど、(ソリッドものとして)視覚的にも精神的にも追い込まれる作品です。

現代の行く末を暗示するような、先の見えないラストの余韻、ぜひ味わってください。

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スナイパーに狙われる系の作品として、こちらも傑作。

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