映画『シー・ユー・イエスタデイ』レビューとイラスト※ネタバレあり

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映画『シー・ユー・イエスタデイ』概要・あらすじ・キャスト

概要

『マルコムX』『25時』『ブラック・クランズマン』で知られるスパイク・リーが制作、愛弟子であるステファン・ブリストルが監督をつとめたタイムトラベルもの。
Netflixで配信中。

あらすじ

科学展に出品するためのタイムトラベル装置を開発中のCJとセバスチャン。
失敗を繰り返すも104回目にして成功したタイムトラベル。
喜びも束の間、CJの兄が強盗と間違えられて警察に射殺されてしまう。

過去に戻って兄を助けようとするCJとセバスチャンだったが、事態は思わぬ方向へ転がっていく・・・。

監督

監督:ステファン・ブリストル

製作:スパイク・リー

キャスト

エデン・ダンカン=スミス:CJ・ウォーカー

科学展にタイムマシーンを出品してMITに入学や!とタイムマシーン開発に勤しむ女子高生。
セバスチャンとは家族ぐるみで仲がいい。

ある日兄を事件で失ったことから、タイムマシーンで過去を変えようとするが・・・。

ダンテ・クリッチロウ:セバスチャン・トーマス

CJの親友でタイムマシーン開発の相棒。
CJの兄が射殺された過去を変えることを初めは反対していたが、結局協力することに。

 

●ブライアン・ブラッドリー:カルヴィン・ウォーカー

CJの兄。
父を亡くしているため、CJにとって父親のような存在になろうと奮闘している。

ある日強盗と間違われて警察に射殺される。

●ジョナサン・ニーヴス:デニス

CJに恋い焦がれるクラスメイト。オタク。

映画『シー・ユー・イエスタデイ』感想

79点

こんちゃ!アサミヤです。

今回ご紹介するのはNetflixオリジナル映画『シー・ユー・イエスタデイ』

個人的には好物なタイムトラベルもので、NetflixのサムネもB級臭を感じさせるものだったんで期待して観たんですが、

黒人差別問題を絡めたシリアスなテンションとおしゃれな音楽にちょっと驚きを隠せないアサミヤでした。

そうか、スパイク・リーが製作してるんだ・・・。

スパイク・リーといえば『マルコムX』や『ブラック・クランズマン』などの黒人差別問題を絡めた社会派な作品を撮り続けてきた監督。
彼が製作してるんだったら、この展開も納得かもしれない・・・。

そこに不満はないんです。
むしろB級と思ったら映像も演出もしっかりしているし、あたりくじ引いちゃった!っていう喜びもなくはないんですが、ちょっと中途半端な感じも否めない、ずばりとは斬りにくい作品だったなという感想です。

短編をそのまま長編にしちゃいました感

今作『シー・ユー・イエスタデイ』は元々ステフォン・ブリストル監督のデビュー作である短編を長編にリメイクしたものです。
題名も同じで主役二人も同じという、そのまんま焼き写した感じの内容なんですが、正直短編でよかったんじゃね?と思ってしまった。

なぜそう思ったかっていうと、タイムトラベルを繰り返す度に悪化する事態っていう展開は面白くて好きなんですが、なんか『世にも奇妙な物語』でも観てるかのような既視感があったからです。

↓黒人だからってすぐ犯罪者よばわりする警察によって間違って射殺された兄。

↓悲しみにくれるCJと母。

↓過去を変えて兄を助けようとするも、失敗ばかり・・・

↓仕舞いには親友のセバスチャンをも失う展開に。(この場合、兄は生き残る)

結局誰かを救おうとすると誰かが死ぬ、という、もう過去を変えたっていいことないじゃん!な詰んだ展開は個人的に大好きなんです。
でも、そういうちょっとした鬱な展開を好きでいれるのは、最後にそれを打開して見えてくる違った未来があるからなんですよね。

例えば私が知る限り、タイムトラベルもので完璧とも言えるストーリー展開のアニメ『シュタインズゲート』

STEINS;GATE
舞台は2010年夏の秋葉原。厨二病から抜け出せない大学生である岡部倫太郎は、「未来ガジェット研究所」を立ち上げ、用途不明の発明品を日々生み出していた。だが、ある日、偶然にも過去へとメールが送れる「タイムマシン」を作り出す。世紀の発明と興奮を抑えきれずに、興味本位で過去への干渉を繰り返す。その結果、世界を巻き込む大きな悲劇が、岡部たちに訪れることになるのだが・・・悲劇を回避するために、岡部の孤独な戦...

『シー・ユー・イエスタデイ』と同じくタイムマシン的なものを作り上げた大学生が、過去を改変しまくった結果、大事な親友が死ぬという未来を作り上げてしまう。
それを回避するためにまたタイムリープを繰り返すも、何度やっても死を招くという『シー・ユー・イエスタデイ』と似たようなストーリー。

大まかなストーリーは似てはいるものの、ラストに感じる重みが全然違う。
『シュタインズゲート』は初めから伏線を引きまくって、後半は怒涛のようにそれを回収しながら終幕に向かうのですが、『シー・ユー・イエスタデイ』は伏線もなにもないし、結局最後はまた一からやり直そうとするだけで何も解決していない。

そしてこの『シュタインズゲート』の何が名作かって、一つはキャラクターの濃さ。
主人公は厨二病な発言が平気でできる、実際にいたらちょっとどころかドン引きするくらいのオタク人間。
周りをとり囲む人間も基本オタクで、はじめて見た私は正直誰一人好きになれなくて、「このアニメ、ついていけるかな・・・」と不安だったんですが、タイムリープを繰り返すうちに彼らの能天気なキャラクターが少しずつ変わっていく。
特に主人公は親友の死を繰り返し目にすることでどんどん疲弊していくんですが、その様が鬱展開で見てる方も胸をグッと締め付けられる。

このキャラクターの変化という点で、『シー・ユー・イエスタデイ』はあまりに薄かったなと思うんです。
そもそも兄やセバスチャンは魅力的に描かれているのに、肝心のCJのキャラクターがあまり見えてこないし、タイムリープを繰り返して何度も死を目撃しているにも関わらず、彼女自身の変化というものを感じない。

演出がきちんとしているし音楽もおしゃれだしで一見抜かりない出来なんですが、だからこそ平坦になってしまっている印象。
だったらもっと初っ端はコメディ要素を強くして、タイムリープを繰り返しながらどんどん病んでいく人々や空気感を描いたらメリハリがついて深みも出たんじゃないかな?と思ってしまいます。

まとめ

なんだかんだ批判しちゃいましたが、こういうタイムトラベルものって観客置いてけぼりの理論を振り回して適当に御都合主義で話が展開したりするものが多いんですが、『シー・ユー・イエスタデイ』はそこらへんわかりやすい設定でのめり込みやすかったので、あまり考えずにSFを楽しみたいときにはおすすめです。

 

あと、イチオシなのが、CJに恋い焦がれるデニス。
はじめはちょっかい出してくるウザいオタクなだぁと思ってたんですが、母親思いで純粋なナイスボーイな姿に気付いたら心奪われていました。

↓母親の足をマッサージしてあげる健気なデニス。

他の登場人物も基本悪い人がいないので、心がガサガサしている時に軽めSFを観て気分転換したいぜっていうときにはピッタリですよ。

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