今回ご紹介する作品は、2017年10月18日に日本公開が控える「ポリーナ」。
といっても映画の内容のご紹介ではございません。
原作となっているBD(バンドデシネ)「ポリーナ」。
バレリーナを目指す少女が人々との出会いや別れを通じて一人前のバレリーナになっていくというお話なんですが、私が大好きな作品なのでぜひこの場をお借りして全力でご紹介したい。
まずバンドデシネってご存知でしょうか?
フランスの漫画で「9番目の芸術」と呼ばれているくらいアート要素の高い文化の一つでございます。
日本の漫画と違うのはまず作品完成までにかける時間のかけ方。
一冊を完成させるまでに3年かけたりします。
全ページ水彩などで色付けされていたりと作り込みが凄いんですよ。
その分、一冊のお値段がお高い。
安くても2000円前後かな?
平気で4000円するのもございます。
だから地道に集めるしかない・・・(金欠には厳しい・゚・(。✖д✖。)・゚・)
古本屋でもまず出会いませんからね。
日本でも影響を受けている漫画家さんは数々いて、代表的な方は大友克洋氏ですね。
私もこのバンドデシネ(BD)が大好きで20冊ほどですが所有しております。
その中の一つが「ポリーナ」。
バスティアン・ヴィヴェスという30代そこそこの若手が描く繊細な目線が優しくも切ない物語なんですよ!
この作家さんの代表作に「塩素の味」というのがあるんですが、新人賞も獲得したぐらい素晴らしい作品なのでご興味持たれた方はぜひ一読頂きたい!!
その「塩素の味」しかり、ポリーナ」しかり、バスティアンの持つ独特の線の存在感が作品をより味わい深いものにしています。
バレリーナを目指す少女が主人公なだけあってダンスシーンが沢山出てきますが、一見雑な線に見えるものの流れるような生きた線で無駄のなさがより生々しい揺動を生み出している。
少女から一人前のバレリーナになるまでの過程も繊細な目線で描かれていて、恩師との関係性や友達や恋人との別れなどを穏やかに紡ぎだしている。
日本の漫画と違って、劇的な話の起伏があるわけではない。
それを期待して読むと肩透かしをくらうこと間違いない。
それよりも、この漫画に流れる空気に触れて欲しいんです。
一つ一つの動きが丁寧にコマ割りされているからまるで映画を観ているようだし、それでいて表情が簡略化されていたりするから想像力も掻き立てられる。
モノクロの絵なのに、とても鮮やかな印象の作品です。
読み終わった後はとっても爽やかな気持ちになるでしょう。
「観客には君が表現する感情以外のものは見えないんだ」
これは恩師が少女時代の主人公ポリーナに言った言葉。
ポリーナが別れなどの様々な体験をする中で踊ることへの情熱が薄れていく。
そして大人になってからその言葉を口にするんですね。
”観客は見せようとしないものは見ない”と。
やっと踊ることへの情熱を取り戻していくシーンです。
とってもその描写が静かなんですよ。
傍観するような目線で演出も乏しい。
だからこそ余計に後からじわーっとくるシーンでお気に入りです。
この「ポリーナ」は以前から映画化されるという情報が密かにあったのですが、中々話が進んでいる気配もなくてもどかしい限りでした。
が、ついに作品が完成し、日本では今年の10月に上映されます!
ヴェネチア国際映画祭にも既に出品されていたそうな。
実際の振り付け師やバレエダンサーが出演しているとのことで、今から楽しみですね!!!!
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